鹿毛康司、モダンエルダーを目指す #06
未経験だらけの仕事に挑戦し続ける31歳、20代転職サイト「Re就活」の学情で不思議な能力者を見つけた
2024/08/05
2週間で準備をしてインサイドセールス、広報、Webメディアで成果を挙げる
鹿毛 どんな仕事に取りかったのでしょうか。
定 バックオフィスに移って、求人広告の制作とインサイドセールスを手探りで行いました。
鹿毛 インサイドセールスは社内にもともとあったのですか。
定 いえ、「インサイドセールス」という形式ではなかったです。
鹿毛 先例のない試みですから、自分でやるしかない状況ですよね。未体験の仕事の始まりですね。
定 最初はインサイドセールスのことをよく知らなかったので、まずはネットで調べて、その後セミナーに参加したりホワイトペーパーを読んだりしました。インサイドセールスやBtoBマーケティング関連の書籍も2週間くらいで一気に10冊くらい読みました。
鹿毛 それが昭和うまれの私には考えられない。確かに我々の時代にはたくさんの情報はなかったけれど、それをわずか2週間で研究してしまうとは。他には何をしましたか。
定 もともと行っていたテレアポとインサイドセールスの違いは何かを整理しました。また、「Re就活」や「就職博」などの商品は、お客様から「導入希望」のお問い合わせをいただく機会が多く、まずはインバウンド(お客様からのお問い合わせ)をインサイドセールスで受ける体制を整えようと思いました。会社に既にある資産を活用し、まずはできることから始めていきました。
鹿毛 最初から部隊ができたのですか。
定 いえ、最初は1人で、一部の業務は営業社員にも手伝ってもらいながら、4年後の2021年頃にセールスマーケティング本部が新設されて、その中にインサイドセールスの部隊ができました。部隊ができて1年後にマネジメントを引き継ぎました。
鹿毛 定さんの上司もやるなあ。まだ20代の若い定さんにそれを任せてしまうとは。また、それをやってのける定さんがそこにいるわけですね。具体的にはどんなプロモーションのお仕事をやったのですか。
定 はい、「Re就活」や「あさがくナビ(朝日学情ナビ)」などのWebメディア事業のパンフレットを制作したり、毎月の販促のダイレクトメールを作成したりしていました。
鹿毛 そこで工夫したことありますか。
定 インサイドセールスの一環としてメールマーケティングもしましたね。そのときはいろいろな会社のメルマガを登録して、内容や送り方、クリックするボタンの位置などを学びました。インサイドセールスのときと同じく、メールを活用したマーケティング関連の書籍を2週間で10冊くらい読みました。
鹿毛 また、本10冊と研究で未体験の仕事をやってのけてる(笑)!次には何を?
定 2020年から広報を担当することになりました。
鹿毛 もう、よくわからないくらい未体験に突入していきますね。
定 はい。学情は色んなことに挑戦させてくれる会社です(笑)。
鹿毛 で、具体的には何を?
定 これまでもメディアから問い合わせを受けて取材に対応することはありました。メディアの方とのやり取りの中で、学生の就職観や若い世代の仕事観について質問いただく機会が多く、200万人以上の20代(学生や求職者)のデータを持つ当社であれば、メディアやその先の読者・視聴者の関心に応える発信ができるのではないかと考え、会社として広報、主に調査リリースを強化していくことになりました。
鹿毛 もっとアクティブにパブリックリレーションズをつくっていこうとしたんですね。最初はどのように取り組みましたか。
定 今までと同じく、ここでも2週間程度でさまざまな書籍を読み込みました。
鹿毛 でた!「本を読み込む」からの未体験着手作戦。しかし、私も広報やったけれど本に書いていない大切なこともあると思うのですが。
定 そうなんです。本だけではわからない部分が多かったので、さまざまな会社のプレスリリースと、それを取り上げた日経新聞やYahoo!ニュースをひたすら読みました。事業会社のリリースとメディアの記事を両方見ていくと、マスコミがどのような点に関心を持っているか、どのようなリリースが取り上げられやすいかが見えてきました。これを最初の半年間くらいは徹底的に行いました。
鹿毛 もう凄すぎて脱帽ですよ。そんな研究をしたんですね。
定 最初は、「Re就活」の会員向けにアンケートを実施して、その調査結果をリリースすることから始めていきました。「Re就活」の運営を担う部署と協議したりして、「20代はこんなことに関心を持っているのではないか」とか、関心のありそうなポイントを探ったんですね。それからアンケート項目を設計したりしていました。
鹿毛 成果は出ましたか?
定 最初の成果は比較的すぐに出ました。2回目のプレスリリースがNHKに取り上げられ、「社会にもっと情報を発信していこう」と、社内で多くの人が部門を越えて協力してくれるようになりました。
鹿毛 素晴らしい!それは大成功じゃないですか。ここまでの話を少し整理すると、普通の人は石橋を叩いて、それでも渡らない。石橋を渡らない人が多い中で、よくぞやってのけましたね。しかも定さんはわずか2週間で徹底して準備して実行したし、協力者もそれを後押しした。これは見習わないといけないですね。
定 そういうことをやらせてもらった会社に恵まれただけです。
鹿毛 もちろん環境もあるけれど、それだけではないですよ。さて、広報の次はどんな未体験に突入するのですか。
定 「20代の働き方研究所 produced by Re就活」というWebメディアを、同じ20代の社員と2人で立ち上げました。20代のキャリアについて考えるきっかけを届けるメディアです。社内の新規事業コンテストを通じて生まれました。学情では毎年様々なサービスが社員発で生まれていますが、これはメディアを立ち上げることが、テレビ東京のワールドビジネスサテライトで紹介されました。
鹿毛 なんと、そんな未体験ゾーンに着手したのですか。それ簡単に言いますが、メディアでの情報発信はかなり難しい仕事ですよ。どのように読者に読まれるかを考えて記事をつくる必要があります。どう取り組んだのか教えてください。
定 また、WebメディアのコンテンツやSNSを見て研究しました。マーケティングの書籍もたくさん読みました。これに関しては1年くらい準備したと思います。
鹿毛 まったくゼロの状態から1年後にスタートできることは相当すごいことです。私なんか3年かかりますよ。ところでライターさんはどのように確保しましたか。
定 求人広告を制作するチームに協力をお願いして、社内でライターをアサインしつつ、最初は自分でも複数の記事を書きました。立ち上げたばかりの頃は取材先を見つけるのに苦労して、活躍している20代の友人などにお願いして、まずはできることからはじめました。社内外の多くの協力者を通じ、質の高いコンテンツを発信することで一定の反響もいただくようになり、いまは自ら志望してメディア運営にジョインしたり、このメディアを志望理由に当社の採用選考に応募される方もいらっしゃいます。
鹿毛 実は私もWebメディみたいなものを立ち上げようとして、失敗したことがあります。もう意味わからないくらい成功させていますね。で、次は何をしたのですか。
定 「Re就活」の商品企画をしました。
鹿毛 商品企画!幅が広いですね(笑)!どんな内容のものですか。
定 たとえば、採用課題やスケジュールに合わせて商品パッケージを組んで、テーマに沿ったプランを作成します。また会社として、2020年から30以上の新商品・新サービスをリリースしました。当時、コロナ禍で学生・求職者と企業が直接会いづらい状況だったんです。だからWebの合同企業セミナーや小規模のダイレクトリクルーティングイベントや、直接訪問できない学生・求職者に代わって、当社の社員が会社へ突撃取材してYouTube動画を制作する商品なども開発しました。
鹿毛 それ進むのには社内に関係者がたくさんいるでしょう?
定 はい。商品ごとに責任者がいました。相次いで商品・サービスをリリースするには全社を挙げて臨まなければなりませんからそれぞれの責任者や現場メンバーとも話し合って、一緒になってつくっていきました。
鹿毛 それは商品企画というよりもビジネスプロデューサーですよね。「一緒につくっていく」とおっしゃったように、会社や社員の皆さんのアイデアを形にしていったわけですね。
Webメディアを中心とした利益性のある先進的な会社に生まれ変わっていくときに、社内に実績がないことを次々と行う必要があります。このとき、普通は外から経験者を引っ張ってきたり、他の業者を探したりするのですが、学情では2週間もあれば形にしてしまうのです。