最先端のマーケティング手法を探る~「VTuber」という新たなマーケティングの可能性~ #05

東京ドームシティを舞台に仕掛けたコラボ企画「hololive CITY」、期待を超えた驚きの集客力

 

これまでのイベントとは桁が違う印象を受けた


―― 先ほどVTuberのファンは熱量が高いというお話がありましたが、実際にイベントを実施してみて、どのように感じられましたか。

奥谷 イベントの情報解禁をYouTubeのライブ配信でしたとき、視聴者のコメントが非常に多くて衝撃を受けました。コメントの量が多いので、流れていくスピードも速く、追いかけられないほどです。リアルタイムであれほどのリアクションがあるということに、まず驚きましたね。

中野 リアルタイムの視聴やコメントが多いのは、現在のストリーマー(配信者)界隈の主軸が生配信であるということが大きいと思います。
 
【重大告知】ホロライブシティってなんだ?【#ホロライブシティ】(ホロライブシティの情報が解禁されたときのライブ配信の様子)
 
【最新情報】#ホロライブシティ 市政だより!【ホロライブ公式】(開催まで1ヶ月を切ったホロライブシティの最新情報をお届けしたときのライブ配信の様子)
 
VTuberの配信を見る醍醐味のひとつが、配信の中でタレントが時にコメントを拾い、それにリアクションを返すことで、双方向のコミュニケーションが取れることがあります。つまり、コメントを通して、推しと会話ができるわけです。そのため、配信を見ながらコメントをすることが文化として定着しています。

奥谷 その後、2023年7月7日に「hololive CITY」内の企画のひとつとして、東京ドームシティアトラクションズとホロライブがコラボする「ホロライブシティ アトラクションズ」が始まったのですが、お客さまの集まり方やオリジナルグッズやコラボフードの売れ方にも驚きました。ライブのオンラインチケットも、本番日直前にバッと伸びて、これまで開催した過去のイベントとは桁が違いました。

野球とのコラボでは、試合後に谷郷元昭さん(カバー 代表取締役社長CEO)が投球する「終球式」で「YAGOOノーバンチャレンジ」という企画を開催し、予想以上に多くのお客様が球場に残っていました。巨人戦の興行に長く携わっている人も、「試合が終了したのにこれほどの人が残っている光景はあまり見たことがない」と話していました。
   YAGOOノーバンチャレンジ総集編として、練習風景や本番の様子がYouTubeで公開された

試合後の企画への反響があれほど大きかったのは、事前にYAGOOさん(谷郷元昭さん)がノーバウンドで投球するという目標に向かって、トレーニングをする動画コンテンツを複数回に分けて配信したからだと思います。読売ジャイアンツの高梨雄平投手に協力いただき、ボールの投げ方を教えてもらう様子は、非常に反響がありました。

中野 YAGOOがマスコットのようなイメージでファンに愛されているので、彼自身がコンテンツになるんです。そこは当社の特殊な性質かなと思います。

奥谷 そうですよね。実際にYAGOOさんが東京ドームシティにきていただいた際に、ファンの方が集まってくる様子を目の当たりにして、他のコンテンツにはない強みがあると思いました。
  

さらにカバーさんがすごいのは、グローバルであることです。「hololive CITY」も、海外からのお客さまを呼ぶことができました。日本の中で展開されているひとつの企画に対して海外のファンからも反応をもらい、日本への旅行企画も数百人単位での申し込みがありました。

私もこれまでいろいろなイベントを手掛けてきましたが、わざわざ国を飛び越えてお越しいただいたのは、初めてでした。もともとVTuberは、国境を越えてファンがいることが強みだと聞いていましたが、そこまでかと驚きましたね。

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