鹿毛康司、モダンエルダーを目指す #09
鹿毛康司氏がリスペクトするZ世代・今瀧健登氏の成功の秘訣― ジョブ型雇用の実践にみる「やるかやらないか」で生まれる差
これまでの常識をくつがえすジョブ型雇用
鹿毛 「ジョブ型」という働き方について、もう少し具体的に教えていただけますか。どのように解釈すればいいのでしょうか。
今瀧 従来の正社員に多い、勤務時間で管理される「メンバーシップ型(時間型)」雇用とは異なり、特定の業務の内容と、その達成度に応じて評価や報酬が決まる働き方です。

この働き方の大きな特徴のひとつとして、メンバーが提示されたジョブを引き受けるかどうかの選択権があります。良くも悪くもメンバーには拒否権があるので、ジョブを受けたくなければ、受けないということができるわけです。
その結果、何が起きるか。極論ですが、ある企業から相談があり、社内に業務を遂行できるスキルを持つメンバーがいたとしても、その人が「その仕事は引き受けません」と言った場合、その仕事はなくなります。
鹿毛 なるほど。では案件が来たら、まずそこにメンバーを選んでアサインメントするんですね。
今瀧 はい、案件ごとにアサインメントします。
要するに、時間型雇用は業務時間の中で最大限に仕事をしなさいという仕組みになるので、資本家は労働者に同じ報酬で頑張って働かせたほうが得になり、労働者は大変という構図が強制的に生まれてしまいます。
一方で、ジョブ型雇用の場合には、ジョブに対して報酬が増えたり減ったりするので、労働者本人が受ければ受けるほど仕事も報酬も増えるし、断れば減ります。資本家としても原価はかからないし、労働者としても選択権があるという形ですね。
鹿毛 Z世代としてZ世代に対するコンテンツ企画するということ。今瀧さんは、その視点がおもしろくて素晴らしいのですが、これまでの世の中のしがらみにとらわれずに、平然と何かを生み出しているということがそもそもすごいんですよね。現代のビジネスのクリエイターなんですよ。
冒頭で、ジョブ型雇用は北欧を参考にしていると言っていましたが、そのヒントはどこから得たんですか。

今瀧 書籍ですね。ビジネス書をたくさん読んでいます。
僕はマーケターや広告会社の経験をせずに、マーケターや広告会社のような仕事に取り組むようになったので、業界の当たり前をそもそも何も知らないんです。それは今になって、逆によかったと感じています。
フラットな視点で考えて、シンプルに「時間型雇用って大変だなぁ」と思ったり、「上の世代の人が若者を見るよりも、若者が若者を見たほうがインサイトを掴めるなぁ」と思ったりして取り組んだことが、世の中にとっては新しかった。
新しいものをつくろうと思って考えたわけではなく、僕が取ったアプローチが結果的に新しかったというだけなんです。
鹿毛 今瀧さんは大学生のときに起業して、そのまま現在に至っているように見えますが、実は一度就職しているんでしたよね。
今瀧 はい。起業した後に、教育コンサルティング会社に就職し、約1年働いていました。
鹿毛 そこで勉強したんですね。
今瀧 約1年でしたが、組織の中で働いたことは本当に勉強になりました。