最先端のマーケティング手法を探る~「VTuber」という新たなマーケティングの可能性~ #6
『妖怪ウォッチ ぷにぷに』がアプリDL数歴代2位を記録した理由 VTuber×ゲームのコラボ成功のカギは?
VTuber市場は急速に拡大しており、2022年に520億円だった市場規模が、2023年には800億円に達すると見込まれている(※矢野経済研究所調べ)。これは日本国内市場のみの推計に過ぎず、海外市場を含めると、2030年までには約1兆円規模に成長するという予測もある(※グローバルインフォメーション調べ)。新しい領域である「VTuber」というビジネスチャンスを、現代のマーケターは見過ごすわけにはいかない。
本連載の第1~4回では、国内外で人気を集めるVTuberグループ「ホロライブプロダクション」の創業者であり、自らも「YAGOO(ヤゴー)」の愛称でVTuberファンから知られるカバー代表取締役社長CEOの谷郷元昭氏が、マーケティングにおけるVTuberの価値を伝えてきた。
第5回は2023年にホロライブと読売新聞が協働し「東京ドームシティ」で実施したVTuberイベント「hololive CITY」について、東京ドームシティを中心に読売旅行や読売ジャイアンツも巻き込んで開催した企画の背景と成果について詳しく紹介した。
最終回となる第6回は、ゲーム企画開発会社であるレベルファイブとNHN PlayArtが提供するアプリゲーム『妖怪ウォッチ ぷにぷに』とホロライブが2022年からゲーム内で複数回開催しているコラボイベントをテーマに、レベルファイブ 専務取締役/CTOで『妖怪ウォッチ ぷにぷに』スーパーバイザーを務める赤坂泰洋氏と、カバー ライセンス事業本部の加持太郎氏が対談を実施。レベルファイブが、インゲーム(ゲームプレイ中にプレイヤーが実際にプレイする部分)でのコラボレーション実績がなかったホロライブに声を掛けた背景やその成果、その後も複数回にわたってコラボを続けている理由などを詳しく語った。
本連載の第1~4回では、国内外で人気を集めるVTuberグループ「ホロライブプロダクション」の創業者であり、自らも「YAGOO(ヤゴー)」の愛称でVTuberファンから知られるカバー代表取締役社長CEOの谷郷元昭氏が、マーケティングにおけるVTuberの価値を伝えてきた。
第5回は2023年にホロライブと読売新聞が協働し「東京ドームシティ」で実施したVTuberイベント「hololive CITY」について、東京ドームシティを中心に読売旅行や読売ジャイアンツも巻き込んで開催した企画の背景と成果について詳しく紹介した。
最終回となる第6回は、ゲーム企画開発会社であるレベルファイブとNHN PlayArtが提供するアプリゲーム『妖怪ウォッチ ぷにぷに』とホロライブが2022年からゲーム内で複数回開催しているコラボイベントをテーマに、レベルファイブ 専務取締役/CTOで『妖怪ウォッチ ぷにぷに』スーパーバイザーを務める赤坂泰洋氏と、カバー ライセンス事業本部の加持太郎氏が対談を実施。レベルファイブが、インゲーム(ゲームプレイ中にプレイヤーが実際にプレイする部分)でのコラボレーション実績がなかったホロライブに声を掛けた背景やその成果、その後も複数回にわたってコラボを続けている理由などを詳しく語った。
ホロライブとのコラボは「冒険枠」
―― まずは、お二方それぞれのお仕事について教えてください。アプリゲーム『妖怪ウォッチ ぷにぷに』とホロライブのコラボレーション当時の役割についてもお聞かせください。
赤坂 私はレベルファイブでCTOと『妖怪ウォッチ ぷにぷに』(以下、『ぷにぷに』)のスーパーバイザーを務めています。ゲームの運営やプロモーションなどについて、全体的な監修を行う役割ですね。
レベルファイブ
専務取締役/CTO、『妖怪ウォッチ ぷにぷに』スーパーバイザー
赤坂 泰洋氏
レベルファイブ創立初期からのメンバーでプログラム全体の指揮を執るCTO/テクニカルディレクター/スーパーバイザー。「イナズマイレブン」「レイトン教授」「ファンタジーライフ」「妖怪ウォッチ」「二ノ国」各シリーズなど数多くのレベルファイブ作品を担当。プロジェクトにおける技術領域・運営を、統括・リードしてきた。
専務取締役/CTO、『妖怪ウォッチ ぷにぷに』スーパーバイザー
赤坂 泰洋氏
レベルファイブ創立初期からのメンバーでプログラム全体の指揮を執るCTO/テクニカルディレクター/スーパーバイザー。「イナズマイレブン」「レイトン教授」「ファンタジーライフ」「妖怪ウォッチ」「二ノ国」各シリーズなど数多くのレベルファイブ作品を担当。プロジェクトにおける技術領域・運営を、統括・リードしてきた。
加持 僕は当時、ホロライブの営業企画本部の本部長で、企業とのコラボやタイアップなどに取り組んでいました。現在はゲーム事業開発室で、当時とはまた別の仕事をしています。
カバー
ライセンス事業本部
加持 太郎氏
外資系ゲーム企業「ウォーゲーミングジャパン株式会社」にて日本コミュニティのマネジメントに携わった後、2020年よりカバー株式会社に参画。営業・ライセンス・MD領域を統括する本部長の経験を経て、現在はゲーム事業開発室室長に就任。
ライセンス事業本部
加持 太郎氏
外資系ゲーム企業「ウォーゲーミングジャパン株式会社」にて日本コミュニティのマネジメントに携わった後、2020年よりカバー株式会社に参画。営業・ライセンス・MD領域を統括する本部長の経験を経て、現在はゲーム事業開発室室長に就任。
―― レベルファイブとホロライブのコラボは、どのようなきっかけで始まったのですか。
加持 最初はある人の紹介でレベルファイブさんにご挨拶させていただいたことがきっかけでした。それがご縁となり、『ぷにぷに』のコラボ先の候補としてホロライブを検討してくださったのです。
赤坂 『ぷにぷに』は、妖怪ウォッチのさまざまなキャラクターがぷにぷに(妖怪ぷに)というパズルの要素になり、プレイヤーがこの妖怪ぷにをつなげて大きくして消すことで、スコアを稼ぐゲームです。これまでは誰もが知っているような有名なIP(知的財産)とコラボしていましたが、何か新しいことにチャレンジして新しいファン層を獲得したいと考えていました。
その中で、ホロライブさんのVTuberとコラボすることは、言うなれば「冒険枠」。結果がどう出るか、まったく予想がつきませんでした。当時の社内では、どちらかというと懐疑的な声が多かったように思います。一方で、「これは当たりますよ」と言うファンの社員もいたので、結果がわからなければわからないほど、チャレンジしがいがあるなと思いました。
加持 従来の当社とゲーム会社のコラボは、VTuberがゲーム実況を行うプロモーション配信から始めて、そこでの反響が大きければ、ゲームプレイ中にプレイヤーが実際にプレイする「インゲーム」でのコラボに進むというパターンが多かったです。
今回のコラボでは、最初からインゲームでコラボしました。ホロライブのタレントが「妖怪ぷに」と同じようにキャラクターに変身しました。レベルファイブさんにとってVTuberとのコラボは「冒険枠」だったと思いますが、なぜそのような決断ができたのでしょうか。
赤坂 『ぷにぷに』は、コラボ先の世界観も大事にしているので、初めからプロモーション配信だけを行うことは考えていませんでした。それだけでは成果が限定的になってしまう気もしていて、コラボするならゲームもセットで取り組むことを根底に置いているんです。
加持 当社としては、レベルファイブさんから提案を受けて、ぜひやりたいという思いで即決でした。というのも、当社の営業はタレント(VTuber)からのニーズを定期的にヒアリングしてデータベース化しており、タレントの中に妖怪ウォッチがとても好きだという人が何人もいて、このような話が出る前から「コラボしたい」という要望があったということが頭の中に入っていたんです。
また、当社のファン層を広げる絶好の機会だと考えていました。




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