鹿毛康司、モダンエルダーを目指す #12
超大物ビジネスパーソンに応援されるのはなぜ? ぴんぴんきらり 喜多尾衣利子氏のビジネスの駆動力は「突破力」と「青臭さ」
2026/04/22
「モダンエルダー」という言葉を知っていますか? 若者に耳を傾けて新しいことを受け入れながら、エルダーとしての力も発揮する「職場の賢者」のことを指します。日本を代表するマーケターであり、クリエイティブディレクターでもある鹿毛康司氏がモダンエルダーを目指して、さまざまな若手にインタビューしていく企画です。
鹿毛氏は「過去うまくいったことも、今ではうまくいかないことがあります。自分としては、思考能力はまだまだ大丈夫だと思っている一方で、時代との何らかのズレを修正し続けなければいけないと、恐怖を感じているんですよ」と語ります。本連載では「若者に教えてもらう」をテーマに、時代とビジネスの勘どころを探っていきます。
前回に続き、第12回は、ぴんぴんきらり 代表取締役CEOの喜多尾衣利子氏が登場。喜多尾氏は祖母との関係をきっかけに、シニア向けの生きがい創出を目的としたサービス「きらりライフサポート」をスタート。単なる家事代行・ベビーシッターではなく、家事を幅広くサポートし、「第二の家族が増える」というユニークな価値を提供しています。創業8年にして、20人あまりのビジネス界の大物が「応援団」として名を連ねているのも注目に値します。
前編では、「歴史アイドル」としての芸能活動や、その傍らで立ち上げたEC事業・宿泊運営代行事業などを通じて身につけた「ビジネス戦闘力」について聞きました。後編では、喜多尾氏が、錚々たるビジネス界の大物から応援される秘訣を紐解きました。
鹿毛氏は「過去うまくいったことも、今ではうまくいかないことがあります。自分としては、思考能力はまだまだ大丈夫だと思っている一方で、時代との何らかのズレを修正し続けなければいけないと、恐怖を感じているんですよ」と語ります。本連載では「若者に教えてもらう」をテーマに、時代とビジネスの勘どころを探っていきます。
前回に続き、第12回は、ぴんぴんきらり 代表取締役CEOの喜多尾衣利子氏が登場。喜多尾氏は祖母との関係をきっかけに、シニア向けの生きがい創出を目的としたサービス「きらりライフサポート」をスタート。単なる家事代行・ベビーシッターではなく、家事を幅広くサポートし、「第二の家族が増える」というユニークな価値を提供しています。創業8年にして、20人あまりのビジネス界の大物が「応援団」として名を連ねているのも注目に値します。
前編では、「歴史アイドル」としての芸能活動や、その傍らで立ち上げたEC事業・宿泊運営代行事業などを通じて身につけた「ビジネス戦闘力」について聞きました。後編では、喜多尾氏が、錚々たるビジネス界の大物から応援される秘訣を紐解きました。
「きらりライフサポート」は、世の中にありそうでないサービス
鹿毛 前編では、ぴんぴんきらり創業までのストーリーをお聞きしました。後編ではまず、ぴんぴんきらりのビジネスについて教えてください。
喜多尾 主軸のサービスは「きらりライフサポート」というご家庭サポートで、シニアの就業支援を目的としています。シニアワーカーに登録していただき、子育て世帯の個人家庭に訪問して育児や家事をサポートする、「第二のお母さんのような関係でおせっかいを焼く」というサービスです。

株式会社ぴんぴんきらり 代表取締役CEO
喜多尾 衣利子氏
事業家家系に生まれる。横浜国立大学卒業後、2012年株式会社カステイラを起業。幕末グッズのECや旅館業を運営。2014年スタートアップ創業メンバーとして執行役員を務める。2017年、祖母が仕事を辞めてから元気をなくした姿を見て株式会社ぴんぴんきらり(旧:ぴんぴんころり)を設立。「きらりライフサポート」(旧:東京かあさん)を主軸に、シニア世代の生きがい創出をミッションとしたサービス展開を行っている。
喜多尾 衣利子氏
事業家家系に生まれる。横浜国立大学卒業後、2012年株式会社カステイラを起業。幕末グッズのECや旅館業を運営。2014年スタートアップ創業メンバーとして執行役員を務める。2017年、祖母が仕事を辞めてから元気をなくした姿を見て株式会社ぴんぴんきらり(旧:ぴんぴんころり)を設立。「きらりライフサポート」(旧:東京かあさん)を主軸に、シニア世代の生きがい創出をミッションとしたサービス展開を行っている。
鹿毛 よくある、家事代行やベビーシッターだけではないんですよね。
喜多尾 家事代行やベビーシッターの枠を越えて、幅広く家族のようにサポートする、「実家のお母さんやお父さんをレンタルする」というイメージです。第二の家族として、出会いをつくることが価値になっています。
鹿毛 さらに言えば「愛情レンタル」ですよね。「おせっかい」というのが重要なテーマ。行き過ぎたら嫌になるし、なくなったら寂しい。人によって濃淡が違うので難しい部分もありますが、最近は売上がぐっと上がってきましたよね。
喜多尾 おかげさまで、順調です。サービスをリリースしてから、シニアワーカーも顧客も増え続けていて、初年度から毎年倍々で売上が増えています。
鹿毛 システムも充実させていますよね。でもそのためにはキャッシュも必要ですし、人集めも大変でしょう。
喜多尾 本当に、人とお金を集めるのが、代表として最も重要な仕事だなと思います。
鹿毛 人は、誰でも採用すればいいということではないですよね。どのような人を採用していますか。
喜多尾 サービスに共感してくれることを大前提としています。その上で、「ワークライフバランス」というよりは、ライフとワークをごちゃ混ぜにしてまるごと夢中になって楽しむ「ワークライフブレンド」のスタイルで、一緒に取り組めるような人を採用しています。
鹿毛 顧客がサービスに申し込むときに、「おせっかい度」という不思議な入力項目がありますね。これはどのような意味合いがあるのでしょうか。
喜多尾 「家族が増える」というサービスがまだ世の中にないので、家事代行やベビーシッターの機能を売るサービスという認識で申し込みされてしまうと、ミスマッチが起きる可能性があります。そこで、あえて「おせっかい度」を聞くことで、「こういうサービスです」ということを伝えているつもりです。
鹿毛 「きらりライフサポート」は、世の中にありそうでないサービスなんだよね。機能そのものは他の家事代行などのサービスと似ているんだけど、提供している価値が違う。シニアが生き生きと働いて、顧客はそれを「おせっかい」という形で享受する、愛情のある社会をつくろうとしているのだと思います。
本気でピッチの準備をして、一期一会のチャンスをものにする
鹿毛 次に、お金の話です。新しいビジネスをつくるときには、いろいろな場面で応援してくれるアドバイザーや顧問が必要になります。ぴんぴんきらりは、実にいろいろな方から応援されていますよね。
顧問には、コミュニティ拡張家族Cift家族代表の石山アンジュさん。応援団には、堀江貴文さん、投資家である藤野英人さんなどがいます。他にはどんな方がいますか。
喜多尾 STARTO ENTERTAINMENTでCEOを務めた福田淳さんや、kubell CEO(旧Chatwork)の山本正喜さん、カナミックネットワーク代表取締役社長の山本拓真さん、ココナラ創業者の南 章行さんなどがいらっしゃいます。応援団の方々に来ていただいたパーティーで「ここにいる皆の企業の時価総額を合わせたら、すごいことになりますね(笑)」なんて冗談を言っていたほど、錚々たる面々です。
鹿毛 創業してまだ8年。そのような仲間を、一体どのように見つけていったのでしょうか。

かげこうじ事務所 代表 マーケター クリエイティブディレクター
鹿毛 康司氏
2020年、エステー クリエイティブディレクター(役員)を退任して現在にいたる。 早稲田大学商学部卒、ドレクセル大学MBA。現在は森永乳業、ほけんの窓口、バーガーキング、ベストコ(塾)会社など様々な企業のマーケティングとクリエイティブの支援をおこなっている。同時にグロービス経営大学院(MBA)教授として社会人学生にマーケティングを指導。2021年には著書「心がわかるとモノが売れる」で、マーケティングに必要なインサイトと人間理解論を実務家の視点で発表した。今年7月26日悩める若手マーケターを応援するためにと「無双の仕事術」を発表。マーケティング立案、特に時代に新しいコンテンツマーケティングやファンマーケティングも得意とする。クリエイターとしてもCMプランナー/監督/コピーライター/作詞作曲などもこなす。2011年の東日本大震災直後に手がけた「消臭力CM」は好感度日本1位を獲得)。ACC Gold、マーケターオブザイヤー(MCEI)、WEB人貢献賞など受賞。
鹿毛 康司氏
2020年、エステー クリエイティブディレクター(役員)を退任して現在にいたる。 早稲田大学商学部卒、ドレクセル大学MBA。現在は森永乳業、ほけんの窓口、バーガーキング、ベストコ(塾)会社など様々な企業のマーケティングとクリエイティブの支援をおこなっている。同時にグロービス経営大学院(MBA)教授として社会人学生にマーケティングを指導。2021年には著書「心がわかるとモノが売れる」で、マーケティングに必要なインサイトと人間理解論を実務家の視点で発表した。今年7月26日悩める若手マーケターを応援するためにと「無双の仕事術」を発表。マーケティング立案、特に時代に新しいコンテンツマーケティングやファンマーケティングも得意とする。クリエイターとしてもCMプランナー/監督/コピーライター/作詞作曲などもこなす。2011年の東日本大震災直後に手がけた「消臭力CM」は好感度日本1位を獲得)。ACC Gold、マーケターオブザイヤー(MCEI)、WEB人貢献賞など受賞。
喜多尾 一気に増えたわけではなくて、一つひとつのご縁がありました。例えば、ひふみ投信の藤野英人さんは、動画メディア「PIVOT」の、エンジェル投資家やVCにピッチができる番組に出演した際に、「投資したい」と言っていただいたのが最初のご縁でした。
元DeNAの原田明典さんは「IVS」というスタートアップ向けのイベントでピッチしたときに、審査員をしてくださっていました。堀江貴文さんも「メイクマネーサバイブ」という番組でピッチしたことがきっかけです。他の人も、ピッチをする番組や、ご紹介でご縁をいただいています。
鹿毛 スタートアップは、資金調達が一番大変ですよね。喜多尾さんはピッチでそれを勝ち取っていて、コネクションに頼っていない。
しかも、単にピッチが上手いから良い結果になるのではなく、一つひとつ、しっかりと準備することでチャンスを掴んでいる。アイドルをしていたから、という理由で大物に応援してもらえているわけではなく、自分の力で稼いでいるんですよね。
たとえば、藤野さんへのピッチではどのようなことを伝えましたか。
喜多尾 まずは、事業を立ち上げたきっかけや思い、サービス内容やこれまでのビジネスの成長曲線などを伝えました。次に、サービスを利用したい人が増えてきている一方でサポートする人が足りない状況に対し、時間とエネルギーがあるシニアの力を活かすことで人手不足という業界の課題解決をしていること。そして「将来的にはコミュニティとして盛り上げていく」という未来もお伝えしました。
鹿毛 つまり、具体的な数字だけではなく、思いが伝わったということですよね。投資家が何より重視するのは、その人の思いです。これは会社員にも同じことが言えます。よく「実績がないから、自分には難しい」という人がいますが、それは違う。もちろん一定の責任は伴いますが、「本気で頑張るから、やらせてほしい」と言えば、やらせてもらえることは実は多いんです。
そして起業家だけでなく、実は会社員でも「ピッチ」をする機会はたくさんあります。調べたことをレポートにまとめて提出したり、業務改善やサービス改善のアイデアを提案したり、上司から指示されたことに対して報告したり。これらも、立派な「ピッチ」です。
突破力や人間力、思いを持ってどんどん行動していると、困ったときに助けてくれる人が増えていきます。そういう人たちが、また別の人を紹介してくれるんですよね。
喜多尾 人を紹介してくれる方もいますし、追加で出資してくださる方もいます。困ったときには、皆さんそれぞれの得意分野ごとに相談して、頼りにさせていただいています。




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