日本市場の構造変化と、伸びる市場の共通点を捉える
これから伸長する4つのマーケット:富裕層、インバウンド、IP、二次流通【マーケター 藤原義昭氏インタビュー】
2026/07/22
これから伸びる4つ:富裕層、インバウンド、IP、二次流通
こうした前提に立ったとき、日本で今後どのような領域が伸びていくのか。考えた続けた結果、私がたどり着いたのが、「富裕層」「インバウンド」「IP」「二次流通」の4つです。
もちろん、それぞれの市場規模は、現時点では消費財市場などに比べればまだ小さいかもしれません。たとえば二次流通市場も、まだ1兆円に届いていないでしょう。
ただし、誤解してほしくないのは、「伸びる市場が4つある」と単純に言いたいわけではないということです。
私が伝えたいのは、「売れる構造」を別の角度から見ると、この4つに分解できるということです。いずれも、その場で売れるかどうかではなく、「時間や文脈を超えて評価されるかどうか」で価値が選別されるマーケットだと考えています。
これは、「自社は富裕層向けサービスの会社ではないから、関係ない」という話ではありません。大切なのは、自社の商品・サービスに、この4つの視点をどう取り入れられるかです。
正確には、「その市場へ参入する」というより、「そこへ自分たちの商品をそっと置きにいく」という感覚に近いと思います。
多くの場合、市場が伸びていると聞くと「その市場に参入しよう」という発想になります。しかし重要なのは、熱狂が生まれる場所を見つけ、その文脈の中へ自社の価値を自然に置いていくことです。
たとえば、飲料メーカーが富士山をデザインしたラベルのミネラルウォーターを販売するとします。同じ商品でも、表参道のコンビニより浅草のコンビニのほうが売れるはずです。そこには、観光や日本らしさという文脈があるからです。
あるいは銀座の歌舞伎座近くのコンビニで、歌舞伎をモチーフにしたラベルの水を販売すれば、おそらく売れるでしょう。
中身はどこで売っても同じです。しかし、置かれる文脈によって価値は変わります。だからこそ、「価値が集まる文脈」を見つけ、そこへ自社の商品・サービスを、意味を添えて置いていくことが重要なのです。その結果として、時間や文脈を超えて評価されるかどうかが決まります。
この視点で見ると、4つの領域はそれぞれ異なる役割を担っています。
富裕層は、その価値を最初に見抜く存在です。高い審美眼を持ち、まだ広く知られていない価値にいち早く反応するからです。
インバウンドは、その価値が異なる文化や文脈でも通用するかを試す存在です。日本国内では当たり前に見えるものが、海外の人の視点を通じて、別の価値として再発見されることがあります。
IPは、一度生まれた価値を保存し、場所や時間を超えて繰り返し活用できる仕組みです。キャラクターや物語、世界観として価値を固定化することで、消費は一度きりではなく、何度も新しい文脈で展開されていきます。
そして二次流通は、その価値が市場で本当に成立しているのかを検証する場です。時間が経っても欲しい人がいるのか。別の所有者に渡っても価値が残るのか。そこに、価値の持続性が現れます。
このように捉えると、4つは独立したトレンドではありません。価値がどのように生まれ、どのように広がり、どのように残っていくのか。そのプロセスを分解したとき、自然と浮かび上がってくる4つの機能なのです。
次回は、4つの市場をどのように捉え、自社ビジネスに落とし込めばいいのかを、具体的に考えていきます。
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