SXSW現地レポート #01

テクノロジーの先進性を競う場から、“体験の創造”の場へ【奥谷孝司・風間公太 SXSW現地レポート】

味覚や排泄、音によるAR、注目の新プロダクト

■Sizzleful(TOSHIBA)
Sizzleful(TOSHIBA)
 視覚効果を使って食の楽しさを演出するトレー型プロダクト。ポップなグラフィックや食器内の料理の世界観を補うような表現が、咀嚼音を感知したり、食器の蓋を開けることでトレー上に映し出されたりする。

 視覚が味覚に与える影響はよく知られているが、視覚による情報の付加によって味覚が未発達な幼少期の子どもに対して完食の強要や心理的な圧迫を取り除き、好き嫌いの軽減や食に対する興味を向上させる端緒への光明を感じさせる。

■DFree(Triple W)
DFree(Triple W)
 経済産業省のベンチャー支援プログラム「J-Startup」の一つとして展示されていた、排泄予測プロダクト。超音波センサーを使って膀胱の大きさの変化を感知して排泄のタイミングをアプリに通知する。

 これまで「事後」にならないと認識出来なかった排泄の状況を「事前」に捉えて可視化することで、介護現場での排泄介助や子どものトイレトレーニング補助などでの活用が期待される。

■Bose Frames(Bose)
Bose Frames(Bose)
 ここからは、プロダクト+サービスの視点で2つの体験を紹介しよう。

 一見、「Boseがサングラス?」という疑問が頭に浮かぶが、視覚ではなく聴覚に焦点を当てたプロダクトになる。耳に近いツルの部分の小型のスピーカーを内蔵し、Bluetooth接続で音楽を聴くことはもちろん、音を使ったAR機能「Bose AR」を備え、スマホアプリとの組み合わせで音によるAR体験ができる。

 例えば写真の「Golfshotアプリ」では、ジャイロセンサーとGPS機能でユーザーの位置と顔の向きを判断。視覚では捉えていなくても、グリーン上のピンの方向を見るとスピーカーから案内音が鳴って正確なショットする方向を示唆するなどの機能を持つ。アプリ開発のためのSDKが公開されていることが、サングラス型プロダクトをインターフェイスとしたサービス提供/プラットフォーム構築が目的だというBoseの姿勢を示している。

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