中国の「リアルな生活者」の姿を追う #03

不安視される経済も、依然高い中国の消費意欲。購買の決め手は「質問行動(Ask)」

前回の記事:
中国の生活者が「わがまま」に? デジタルテクノロジーの浸透で変化する消費スタイル

引き続き成長を実感できる中国経済

 最近、中国の経済成長について、GDP成長率の減速や国内自動車販売台数の前年割れなど、日本メディアも含めて国内外から不安視されていることは否定できません。

 一方で、身近な中国生活者の消費行動を見る限り、景気の停滞感はあまり感じられず、消費欲求は今までと変わりなく高い印象が見受けられます。

 例えば、私の周りでも有休休暇を利用して一人で、もしくは家族と一緒に海外旅行を楽しんでいる人は多く、各種ECサイトの成約件数も依然として高水準にあります。このように、生活者の「買買買」行動(「何でもいいからとにかく買え買え買え」という意味で、中国の富裕層とその子どもたちの消費行動の特徴を指す)は活発な状況であることからも、全体的に経済成長が続いていることを実感できます。
 
データ出所:中国国家統計局

 その背景には、個人の可処分所得の向上がありますが、2016年頃からフィンテックやシェアリングエコノミーといったグローバル潮流の影響を受けながら、消費市場におけるデジタルテクノロジーの生活への浸透があると理解できます。

 しかし、たくさんの情報が溢れている今の消費環境において、生活者が企業から提供される情報をインターネットで検索し、あるいはアプリなどでAIからオススメされる情報を信頼し、それをベースに商品やサービスを購入・利用しているのかどうかは、疑問を感じるケースも時々ありました。

 昨年、あるNEV(新エネルギー車)ユーザー陳さんとのインタビューの際に、今の生活者は従来型の情報チャネルの定義をはるかに超えた、多彩な情報ルートを活用していることが分かりました。

 それに、一人で黙々と情報検索している姿と異なり、知らない人に直接質問したりすることができる、いわば「質問行動(ASK)」が機能していることが特徴であると感じられました。
 
上海のNEVオーナー、陳さん

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録