中国の「リアルな生活者」の姿を追う #05
ユーザー3000万超えアプリが多数誕生。中国「耳経済」の躍進は見逃せない
音楽だけでなく小説、語学、財テクも楽しむ生活者
最近、中国都市部の道を歩いているときでも、地下鉄に乗っているときでも、またカフェや飲食店の中でもスマートフォンとイヤフォンをつないでいる若者や中年の方々が増えていると実感できます。
楽しそうに音楽を聴いていると思いきや、同僚や友人に聞いてみると驚くべき事実が判明しました。彼らは音楽のみならず、小説や相声(中国漫才)、財テク知識、語学レッスンなど、ありとあらゆる「音声コンテンツ」を楽しんでいるのです。
この数年で、これらの音声コンテンツを提供しているスマートフォンアプリの種類が急速に増え、それに伴うアプリをダウンロードするユーザー数は4.25億人(2018年、前年比22.1%伸び)となり、2019年には4.86億人に達する見込みと報道されています。
また、市場成長率を見れば、モバイル動画市場やモバイル閲読市場(テキストと画像によるインターネット記事)に比べると、デジタル音声コンテンツ関連は伸びの速い市場であることが分かりました。
今の中国では、生活者が目で楽しむコンテンツ(文字、写真、動画など)に加えて、耳で楽しむ音声コンテンツ(音楽、小説、各種レッスンなど)にもたらされている経済効果、いわば「耳経済」も注目を浴びており、今後も成長のポテンシャルが高い市場になっています。
■表①:2016~2020中国音声小説コンテンツの市場規模予測(単位:億元)
大手調査機関(艾瑞諮訊)の発表によると、中国でデジタル音声コンテンツの配信サービスを行っている会社は、主に3つの大手プラットフォームに集中していると言われています。2019年第一四半期のアクティブユーザー数の1位は「ヒマラヤ(喜馬拉雅FM)」で8955万人、2位は「ライチ(荔枝FM)」で3589万人、3位は「トンボ(蜻蜓FM)」で3204万人となります。
数字を見る限り、「ヒマラヤ」が膨大なユーザー数を囲い込み、圧倒的な強さを示していることは一目瞭然ですが、2位の「ライチ」や3位の「トンボ」でさえアクティブユーザー数が3000万人を超えている点からも音声コンテンツ配信の勢いを感じます。