イスラエルマーケティング月報 #02

イスラエルのことが知りたくて習った、「クラブマガ」から見えたこと

「強く意志のある女性こそ美しい」イスラエルの価値観


 イスラエルで暮らすと毎日、電車の中や駅、ショッピングセンター、レストランやカフェなどいたるところで軍服を着た兵士とすれ違います。彼らのうち何人かは本物のマシンガンを肩にかけており、最初は緊張感がありましたが、今ではもう見慣れてしまいました。

 兵士は男性も女性も両方、同じくらいの確率で目にします。また、出生率が3.0以上なのに共働き率が高く、働くママや女性管理職が当たり前の風潮に思えます。
 
電車の中でよく見る光景。かっこいい女性兵士に惚れ惚れしてしまいます。

 昨年、日本に留学しているイスラエル人女性と仲良くなりました。この友人は、軍にいるときにクラブマガの授業をひとコマ取ったそうです。年始にランチしながら、彼女にこう質問したことがあります。

 「日本社会は、女性にとって生きづらそうに思えることはない? あなたから見て、『もっとこうしたらいいのに』って、日本の女性に対して思うことがあったら教えてほしい」

  すると、彼女は「すごく難しい質問ね」とうなずき、それから少し間を空けて話してくれました。

 「何年も日本に住んでいるけど、確かに女性がもっとのびのびと輝ける日本社会になるといいなと思う。日本は本音と建前がある国で、遠慮や気づかいがある国。私たちイスラエル人は女性も全員兵士としての経験を積んで、社会に出る前に闘うことを覚えてしまうので、『問題解決するためには闘え』と思ってしまうけど、それはイスラエル流のやり方だよね。私たち外国人が『それはおかしい』と指摘しても、それは価値観の押しつけになってしまう。だから、日本女性自身が、日本の内側から変えないと意味がないんだろうと思う」

  彼女の言う通りだと思いました。日本人の私に内側からできることって何だろう、と改めて考えさせられたやり取りでした。

  また、ワーママの同僚がこんなことを教えてくれました。

 「私たちイスラエル人は、そのほとんどのルーツが他国にある。建国70年あまりの国家だから、3世代以内(祖父・父親世代)にどこか他の国から移住してきている場合がほとんどなの。 だから家族ごとに、それぞれのストーリーがある。ルーマニアやロシア、イラク、アメリカ、文化も何もかも違う個人が、軍に入って国を守ることを学ぶ。いつ敵が攻めてくるか、いつ自分が戦線に行かなければならなくなるか分からない。女性だって軍隊に行くのよ?こんなクレイジーな国も珍しいわよね(笑)。

 そんな背景があるからか、私たちの遺伝子には、今日を生きることが刻まれているように思う。家族は少数精鋭部隊のようなもので、協力するのが当たり前。そしてどんな時も、衝突や失敗を恐れない。生き残ってさえいれば、その失敗を糧にして、人生を続けることができるから」

  共働きで3人の娘さんを育てている彼女の言葉は、とても説得力がありました。イスラエル人の国民性を理解したくて始めたクラブマガは、イスラエルでも続けてみようと思っています。

 先日道場の見学に行きまして、あまりにも本格的な内装に正直内心ビビりまくりでした。クラブマガとは少し異なるマーシャルアーツの道場であることが判明したものの、内容が非常に似ており、やはり奥が深く面白いので、入門することにしました。きっとまた、新たな発見と学びがあることでしょう。

 最後に、取材に協力してくれた友人Shirと同僚のReutに、感謝を込めて。
 
エルサレムの駅にて。ピアノが響き渡る構内。
 
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