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【速報】カンヌライオンズ2018現地レポート #01

カンヌライオンズは、 なぜ、どのように変化しようとしているのか?【多摩美術大学 佐藤 達郎】

拡大するカンヌライオンズに批判が集まる

 多摩美術大学で広告論 / マーケティング論 / メディア論を教えている、佐藤達郎と言います。ADK(アサツーディ・ケイ)と博報堂DYメディアパートナーズで長年働いて、8年前から現職となりました。

 カンヌ・ライオンズには2002年に初めて参加してから、今年で15回目の参加になります。その間、2004年にはフィルム部門の日本代表審査員を経験し、その経験を元に『教えて!カンヌ国際広告祭』という本も執筆しています。

 そんな筆者からして今年のカンヌ・ライオンズ(正式名称はカンヌ・ライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル)は、その名称から「広告(advertising)」という言葉をはずした2011年以来の、エポックメーキングな変化の年です。

 アジェンダノートをご覧の皆さまには、カンヌ・ライオンズは、なぜ、どのように変わったのか(あるいは、変わらないのか)。そして今年、2018年の受賞作に目立った特徴は何だったのか。全体の特徴はどうだったのか、などについて4回にわたってレポートしていきます。初回と第2回は、会場からの速報レポートです。
初日から満杯のメインステージ。

 僕が審査員を務めた2004年は、“ライオン”と呼ばれる“部門”は、フィルム・ライオン、プレス・ライオン、サイバー・ライオンなど、たったの7つでした。それが、ざっと2年に一度のペースでライオン(部門)を増やし続け、昨年2017年には全部で24のライオン(24部門)にも膨れ上がり、開催期間も最大8日間になっていました。
 
この拡大傾向に対して、多くの批判が出ました。「ライオン(部門)を増やして、応募数や参加者を増やそうとする儲け主義だ」とか、「複雑になり過ぎて何が何だか分からない」といった声です。

 こうした批判に対するカンヌ・ライオンズ側の答えはいつも同じ。それは、「ライオン(部門)が増えているのは、現実のマーケティン・コミュニケーションの世界がそうなっているから。カンヌ・ライオンズは、その現実を映しているに過ぎない」というものです。

 僕は、その説に基本的には賛成でした。また2017年の「Fearless Girl(恐れを知らぬ少女)」のように、ひとつの広告コミュニケーションが多くのライオン(部門)でグランプリや金賞を獲ることにも批判が出ました。しかし、このことも基本的には、特に反対する気持ちにはなりませんでした。

 なぜならば、カンヌ・ライオンズのたくさんのライオン(部門)は、それぞれの分野のプロの視点で広告コミュニケーションを評価するわけで、それは現在の広告コミュニケーションが多面的であることの反映であると考えたからです。優れた施策が複数のライオンを獲るのは、いろいろな分野の視点で評価して、そのどの視点からでもいい施策なのだから、別に問題はないだろう、と。

 しかしながら、そんな昨年までのカンヌ・ライオンズ肯定派の僕にしても、近年の複雑さには、少々辟易するものがありました。24のライオンは、さすがに複雑過ぎます。にわかには理解しがたいものがあります。

 そんな風に感じた人は業界にも多くいたようで、世界的なエージェンシーであるピュブリシスがカンヌ・ライオンズ2018への応募の見送りを表明し、世界屈指のエージェンシー・ネットワークであるWPPの当時の総帥マーチン・ソレル氏も「高過ぎる、長過ぎる、複雑過ぎる」と批判したと伝えられています。

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