イスラエルマーケティング月報 #03

監視型社会か、自律型社会か。イスラエルの新型コロナ対応【栗田宏美】

前回の記事:
イスラエルのことが知りたくて習った、「クラブマガ」から見えたこと
 

外出禁止令から約1カ月経ち、分かってきたイスラエル流の対応


 シャローム(ヘブライ語で「こんにちは」の意)! 栗田宏美です。流通系カード会社であるクレディセゾンで広告宣伝やデータビジネスに携わり、現在はクレディセゾンの出資先であるTrendemon(トレンデーモン)というイスラエルのマーケティングテクノロジースタートアップのイスラエル本社で働いています。マーケティング、プロダクト改善を担当しながら、スタートアップが年間1000社近く生まれるこの国の最先端技術やサービスを調査しています。

 早いもので、イスラエルに移住して3カ月が経ちました。就労ビザも下りてひと安心、イスラエルでの共働き生活が始まりました。コンテンツマーケティングのROIを可視化する画期的なプロダクトを持つTrendemonで、過去に自分がオウンドメディアを立ち上げ広告主として向き合っていたのとはまた違った角度で、日々マーケティングと向き合っています。

 スタートアップ投資の世界も知れば知るほど面白く、奥が深く、興味が尽きませんが、カンファレンスやミートアップに参加すると、知識も人脈もゼロからの開拓なので思うようにいかないことも多く、「もっと英語が流暢でヘブライ語も話せる人を雇ったら?」と言われて悔し泣きしたりしました。それでもめげずに、七転び八起き!と、奮闘していた矢先。

 まさかこんな世界規模で大変なことになるとは。COVID-19(以下、コロナ)の影響を、イスラエルも大いに受けています。外出禁止令が出たのは、日本で緊急事態宣言が出るよりも3週間以上早く、そこから段階的に制約を厳しくしていきました。私の身辺に起こった出来事を含め、時系列を整理します。
 
普段は3面の交通広告も、今は自治体による1面ポスターになっています。「健康第一!衛生状態を大切に」(つまり「手を洗いましょう」)ということが書かれています。

 もう2月の時点で、日本からの入国者はイスラエル入国後2週間の自宅隔離が余儀なくされていました。2月に大好きな祖母が他界したのですが、日本に戻ったらイスラエルに入国できる状況かどうかが不透明で、日々どんどん入国者に対する規制が厳しくなっていたので、一時帰国を断念しました。現在のイスラエルの感染者数は1万5782人、死者は212人(4月29日時点)です。

 3月以降の動きをざっとまとめてみました。
 
※上記は現地ニュースや生活の中での情報を参考にまとめましたが、あくまで私の認識です。厳密な条件や日付のズレなどがあるかもしれません。予めご了承ください。

 4月29日現在は、イスラエルが祝日のため都市封鎖はされていますが、今後の規制緩和が見えていて、5月3日からはローカルの幼稚園・保育園は再開されるなど、ここにきてようやく経済再開の兆しが見えてきました。しかし、コロナ禍でイスラエルでは100万人以上が失業したと言われています。日本も今、大変な状況だと思います。国は違いますが、何か参考になればと、第3回はイスラエルのコロナ対応と現状、続く第4回では窮屈になった生活の中でも気づいたイスラエルのマーケティングについて、書き綴りたいと思います。皆様のお役に立つことがひとつでもあれば幸いです。

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