海外ニュースから読み解くマーケティング・トレンド #09
「ニューノーマル(新しい日常)」で、消費者の欲求はどう変化したのか
コロナウイルス禍で消費者の行動と意識はどこへ
消費者の立場で「新しい日常」が生み出す変化について考えてみましょう。IT批評家の尾原和啓氏が「リモートワークの解像度を上げる四象限」として紹介していた図を少し変えさせてもらい、ここではリモートワークだけでなく「新しい日常」全てを捉えた軸として見ていきます。
縦軸は「集団か個人か」になり、上が「集団」で下が「個人」です。そして横軸は、もともとの図は「目的があるかないか」でしたが、こちらでは左が「娯楽や買い物などの日常生活」、右が「仕事・お金にかかわる社会的生活」として具体的に分けてみます。
この図で分かりやすいのは、右上の「集団・仕事」です。これが今はオンラインでのミーティングツールの活用だけでなく、企業において物理的な接触を伴わず、いかに生産性を上げる活動ができるか、変化に対する耐性や柔軟性が議論されています。
これを消費者の視点に置き換えて考えると、ZoomやTeamsなどのオンライン会議ツール、通信環境、自宅でのワークスペースなど、今まであまり意識しなかった消費が見えるようになり、Webカメラやマイク、自宅用ワークチェアが新しい購入アイテムになります。
同時に家で働くということは、家族のいる場所で時間や場所を確保するという別の悩みが生まれます。学校が休校となると、親が子どもの教育面をカバーしなければならなくなります。
特に共働き世帯やワーキングマザーにとって、このケアは非常に大きなチャレンジです。もしリモート授業をすると、小学生以下の子どもを持つ働く親は、その教育用デバイスも含めて、購入を検討しなければならないからです。
「仕事・お金」の軸が個人となった場合、コロナウイルス禍で通常の業務が出来ない業種で働く人は、今後のキャリアを含めてどのような仕事をしていくか考える機会になっています。
特に生活をしていくために、自分は何が出来てどうお金を稼げるかという点について考えざるを得ないからです。たとえ直接的な影響がなかったとしても、自分の資産がどのように変化し何に投資をすべきかについて関心が高まっている傾向が伺えます。
次に左の「日常」の軸に移ると、マスクや消毒液のような衛生関連の商品だけでなく、自宅で過ごす時間が増えてリラックスできる環境づくりのためのホームウェアやスキンケア、フレグランス商品の需要が高まっていきます。
また、外食できないため、フードデリバリーや自宅での料理の機会が増えるほか、家で運動不足のためにフィットネスや運動のための商品や、YouTubeやNetflixなどのオンデマンド動画サービスを使った娯楽も増えていくでしょう。