海外ニュースから読み解くマーケティング・トレンド #10
ヴィトン「8万円のトランプ」 任天堂「どうぶつの森」、コロナ禍の消費者欲求に応えた秀逸企画
消費者の欲求に応えた、ユニークな活動
前回、消費者が「ニューノーマル(新しい日常)」で何を求めているのかについて考えてみました。今回は、実際に企業が消費者の欲求に対して行っている具体的な事例について海外も含めて紹介しましょう。
1.健康、遊びなど「ホームグッズ」を提案したルイ・ヴィトン
ラグジュアリーブランドのルイ・ヴィトンは、4月中旬に自社ECサイトで、ゲーム、スポーツ、デコレーション、リラクセーション、ホビーの5つのカテゴリーに分けた「ホームグッズ」を提案しました。
この中には、普段であれば彼らが発売しないようなアイテムが含まれているのが特徴です。例えば、モノグラムのレザーケースに入ったトランプカード、ブロックゲームができるモノグラム・タワーやサイコロ。スポーツカテゴリーでは重さ3kgのダンベル、ロゴがプリントされた公認球付きの卓球セット、縄跳びなど。
これらは非常に高価ではあるものの、ブランドとしてのポジションを維持しながらコロナウイルス禍の欲求のはけ口としてレアアイテムを発売するのは、ラグジュアリーブランドならではといったところです。
2.新しいブランド化された暇つぶし:マクドナルド、ディオール
自宅での安価な娯楽といえば、昔からジグソーパズルが有名です。ベルギーのマクドナルドが広告会社のTBWA Belgiumとともにハンバーガーのジグソーパズルを発表しました。
同様のアイデアとして、クラフト・ハインツ・カナダで570ピースから成る真っ赤なケチャップ色のジグソーパズルを発表しています。長い自宅での隔離生活を送る17カ国の人々に限定57個がプレゼントされるとのこと。
また、ハイブランドのディオールは、間違い探しゲーム「8 DIFFERENCES」をオンラインで発表しています。4組のコレクション画像に、それぞれ8つの間違いが隠れているという企画です。数字の「8」は、メゾン創設日の1946年10月8日、店舗を構えたパリ8区、ニュールックのシルエットとしての8ラインなど、創設者であるムッシュ・ディオールのラッキーナンバーにちなんだものです。
これらのゲームは、まさに「ブランド化された暇つぶし(Branded Killing-time)」です。ただの娯楽ではなく、過ごす時間が長いためにブランドを記憶に留める効果があります。