海外ニュースから読み解くマーケティング・トレンド #10

ヴィトン「8万円のトランプ」 任天堂「どうぶつの森」、コロナ禍の消費者欲求に応えた秀逸企画


3.ゲーム空間を「新しい日常」の空間に変える:フォートナイト、あつまれどうぶつの森

 世界的なバトルゲームとして2億人以上のプレーヤーがいる「フォートナイト」は、ゲーム空間でのイベント開催が得意ですが、コロナウイルス禍の状況で人気のアーティスト、トラヴィス・スコットの“バトルなし”の音楽ライブを開催して1200万人の視聴者を集めました。

 フォートナイトのような空間は、ただの音楽配信と違ってプレーヤーがそれぞれ好きなコスチュームで参加できるため、ゲーム空間が「新しい共同空間」として有効であることを示したと言えます。
 

 同様の事例として、任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」に、マーク ジェイコブスとヴァレンティノがプレーヤー用のマイデザイン機能にブランドのバーチャルウェアを提供しています。さらに、メトロポリタン美術館が所蔵作品をゲーム内での使用を許可するなど、ゲーム上の空間を共同の生活空間として想定したサービスは、コロナウイルス禍で難しかった他人との交流を促すものとして、今後ますます注目されるかもしれません。
 
https://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/index.html

4.新しい「つながり」の機会活用:BEAMS、ALL YOURS、チポトレ

 コロナウイルス禍で明らかに減少している「人との接点やつながり」をいかに自社のブランドでも維持していくかは、特にコアファン層や優良顧客がビジネスの核になる嗜好品メーカーや小売店にとっては非常に重要です。

 デジタルチャネルの活用を以前から取り組んでいたBEAMSは、コロナウイルス禍でもライブコマースや店員スタッフのYouTube配信など、新しい顧客とのつながりを提案しています。

 試着を重要なブランド体験として位置付けていたファッションD2Cブランド「ALL YOURS」も、店舗を閉めた後も「おうちで試着」といった形でECサイトで買ってもらった商品を送るだけでなく、店員のオンライン接客を組み合わせた方法で自社のブランド価値をなるべく落とさずに実施しています。

 海外では、メキシカンファーストフードの有名チェーン「チポトレ」が、3月にすでにZoomを活用したファンとの交流イベントを実施しています。このように今まで仕事で使っていたようなオンラインツールを消費者とのつながりにも活用する機会が増えています。

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