グローバルガイドライン作成に、英語に奮闘中!スイスの「社窓」から #05

スイスで初体験、自分の仕事量を上司と議論する「働き方会議」

 

働き方を柔軟にすれば「チャンスが生まれるかもしれない」


 私の場合は、スイスに来た目的のひとつに本社社員とのネットワークづくりもあり、同僚とのランチや、一緒に過ごすプライベートの時間も大事です。そのためスイスにいるときは、会社に行くことにも仕事同等の価値があると言えます。

 しかし、日本に置き換えてみたとき、仮に私が中小企業の経営者で製造業でなければ、在宅勤務を推奨しようと思います。特に地方の企業は、優秀な人材を獲得するすごいチャンスだと思うんです。
 
在宅期間中に自宅で

 たとえば、いま地方の企業への転職を希望する若者が増えているという記事を見たのですが、私の考えでは、この若い人の「地方に転職したい」という思いは、本当は「ロケーションに左右されることなく働きたい」だと思うんです。職場が地方にあるのか、都市にあるのかではなく。

 転職は会社を変えることですが、会社が「どこで働いてもいいよ」と選択肢に幅をもたせてあげられたら、家賃も高く狭い部屋の東名阪で生活することより、地方で庭付きの大きな家に住むことを選ぶ人が増えるかもしれない。それこそ、地方に住む親が心配で転職するという人も少なからずいるでしょうから、そういう人に会社を選んでもらえると思うんですよね。

 会社としても、それが実現できたらオフィスのスペースを3分の1ぐらいに減らして、家賃という固定費が浮き、その一部を社員に還元して在宅勤務のインフラ設備をサポートできるかもしれない。もし集まる必要があれば、その回数も月1ぐらいに限定して。

 もちろんFace to Faceの必要性はあると思いますが、重要なのは「働き方にもっと柔軟性を持たせる」ということ。現在のような危機的状況に対応するためには、それが大事になるのではないでしょうか。

 もちろん在宅勤務に切り替わることで、出てくる問題もたくさんあると思います。子どものいる家庭をどうケアするかも大事ですよね。子どもがいると家で集中して仕事ができないのは、確かにそうだと思います。

 そうしたとき、日本は海外と比べてベビーシッターやハウスキーパーが充実していないため、そこをケアしてはどうか。または、先ほどお話ししたように地方で働けるようになり、親と近くに住める環境が実現すれば、働く女性ももっとキャリアについて考えられるようになるのではなど、私が考えることではないかもしれませんが、考えを巡らせています。

 女性のキャリアについて言うと、スイスでは働く女性が日本よりも圧倒的に多いです。私の上司は女性ですし、子どもがいる人も多くて、みんなフルタイムで働いています。それと自分の将来のビジョンを明確に持っている人が多い印象です。日本だと結婚・出産による環境変化などの影響を考えて、そうしたビジョンを持ちづらかったり、どこかで諦めてしまったりする節があると感じています。

 そんなふうに、コロナ禍をきっかけに、自分たちの働き方を変えていけるチャンスになるのではと思ったりしています。
 
社内の食堂でランチ
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