AD STARS レポート
「危機時こそクリエイティブをたたえる重要性が増す」韓国 AD STARSチェアマン インタビュー
「コロナは韓国に勝てない」と国民が語る理由
――新型コロナウイルス感染症が拡大していた期間、韓国の広告マーケティング業界はどのような状況だったのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症は、人々の日常生活と消費習慣を変化させました。ですが、韓国のブランドは上手く適応して消費者の信頼を維持しながら、私たちが直面する問題を解決しようとしてくれています。
たとえば、我われの生活のなかで健康製品と生活必需品の支出が最優先されるようになりましたし、安全で透明性の高い韓国製品への需要が高まり、一時は供給不足が起きましたが、現在はそれらの商品を容易に入手できます。それによって韓国ブランドは人々から誠意と信頼を獲得していますし、人々もそんなブランドと共に現状を克服しようとしています。
また、優れたITテクノロジーと通信環境によって、ビジネスと人々は簡単にコネクトできるようになりました。多くの企業がそれらを活用して、様々な便利なサービスを提供してくれています。そうした状況から韓国国内では「コロナは韓国に勝てない」という声が上がっているんです。
非対面マーケティングに取り組む現代自動車
――コロナ禍における韓国企業の具体的な活動事例について教えてください。
新型コロナウイルスのために「アンコンタクト(非対面)」が韓国社会の主要なトレンドとなり、ブランドはこのような変化をいち早く受け入れ、トレンドに合った活動を展開し始めました。
技術の発展と新しい時代の到来で、広告マーケティング産業が大きく変化したのです。企業はこれまでも、一方的な広告形式から脱した新しい試みをしてきましたが、今回の事態が企業とブランドの変化を加速させたと見ています。
例えば、現代(ヒュンダイ)自動車は、非対面マーケティングを急遽導入し、自動車について相談から購入までオンラインでできるようにしました。オフラインでの新車発表から脱し、オンライン上で新車発売を行い、 YouTubeやFacebook、NAVER TVなどのオンラインプラットフォームを活用しています。
また、自動運転向けセンサーや電動化など技術分野の新技術コンテンツを製作し、仮想技術展示会(Virtual Tech-Fair)を通じて紹介する試みも始めています。VR技術を活用したコンテンツは立体的で臨場感ある体験を提供できるので、現場で見るよりも効果的に、技術への理解を促せると期待しています。これまで車をオンラインで見て購入することは、想像すらできなかったことですが、アンコンタクトが日常となった今、現実になっています。
さらに現代自動車は、自動車の中で公演を楽しむ「現代モータースタジオステージXドライブインコンサート」を開催しました。車両の技術を活用した舞台公演をリアルタイムで楽しめるイベントです。これは単なる販売のための活動ではなく、ポストコロナ時代に歩調を合わせた、消費者とのコミュニケーションを展開したと言えるでしょう。
日常に疲れた市民に慰労の機会を提供し、一方で小売店が販売する食品をコンサートの観覧客に提供することで低迷している地域経済の活性化も図りました。あくまで本業に忠実でありながら、新しい試みを通じて消費者に感動を与えてブランドビジョンを強調した例と言えます。