海外ニュースから読み解くマーケティング・トレンド #11
プライバシーよりも公衆衛生が優先される事実。コロナが浮き彫りにした「データと正義」
社会にも個人にも共通の「公平性と透明性」の確保が大事に
コロナ禍は人の移動という点で従来のグローバリズムを破壊しましたが、その後に注目された人種差別のような人権問題は、「個人が本当に平等、そして公平に扱われるべきである」という立場から、個人の自由よりもコミュニティのガバナンスを問うようになりました。
それは、国家や自治体による警察や軍隊のような「統治のための政治による暴力の独占」に疑問を投げかけることであり、国家、自治体、そして企業のような組織やコミュニティが、より公平性という「正義」に敏感にコミットすることが求められるようになったからです。
このような背景があるからこそ、P&Gをはじめとした企業によるFacebook広告へのボイコットが起こり、その公平性を確保せず、発言の自由を優先させたプラットフォーム側に責任がある、という発言になったのです。
これは、個人の情報を含むデータがどのように、そのコミュニティの中で役割をもつかということと、その情報をどのように自分以外の他者や社会とやりとりすることが「正義」なのか、という視点につながります。
アップルをはじめとするテクノロジー企業のデータ規制とは、個人の保護というよりも、そのような「正義」のために確保された「データの持つ権利と義務」を個人にも社会にも、公平性と透明性をもって遵守してもらうためのものであり、それを示すものでもあるのです。
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