【速報】カンヌライオンズ2018現地レポート #03
戦略コンサルの台頭、ネットワーキングの重要性が高まるカンヌライオンズ【多摩美術大学 佐藤達郎】
2018/06/28
6月25日、カンヌから日本に帰国しました。まだ時差ボケ中の火曜日ですが、さっそく第3回目のレポートとして、今年のカンヌライオンズの総括に取り組んでみたいと思います。主な受賞作とその傾向は、最終回となる第4回に譲るとして、まずは受賞作「以外」について、考えていきましょう。
いずれにしても、こういったパスのニーズが存在するということです。つまり、カンヌライオンズ出席者とネットワークをつくりビジネスに役立てたい、そのためなら30万円だって払う、という人々がいるのです。
そういった人々にとって、カンヌライオンズの主な価値は、受賞作でもセミナーでもなく、「そこに集まる人々」と「その人々とのビジネスにつながるネットワーキング」だということになります。
受賞作の概要はもちろん、主なセミナーもいまやネットで見られる時代。さらに今年、新設されたのが「デジタル・パス」。1万円ほど支払うと、ネット上で見られるコンテンツが格段に充実するというパスです。
受賞作やセミナーはデジタルでフォローできる一方で、生身の人間との「ネットワーキング」は、現地に行き、パーティなどしかるべき場所にアクセスすることでしか効果を上げられないと考えられます。そうしたことから、「ネットワーキング・パス」も生まれたのでしょう。
僕は以前から、カンヌライオンズの重要な価値のひとつに、「巨大な語り場としてのカンヌライオンズ」について言及してきました。ここに参加する人は、ほとんどが会社派遣の人々です。これだけ高額な費用を会社が負担するということは、現在すでに重要な地位を占めているか、将来重要な地位を占める人として嘱望されているかのどちらかだと考えられます。広告・マーケティング界のいわばエリートが集まり、1週間近くにわたってこの場で学び語り合って、また次のトレンドを創り上げていくわけです。
そういった人々が、今年で言えば1万6000人以上も集まるのです。これは、「ビジネスのためのネットワーキングの場」としても、相当な価値を持っていると想像できます。参加者の45%がエージェンシー、30%がクライアント、12%がメディア、5%が制作会社だと言います。エージェンシーからするとクライアントと親しくなる機会、プロダクションからするとエージェンシーと関係性をつくるビッグチャンスだと言えるでしょう。
実際、日本の制作会社から来ている人の何割かは、登録パスを買わないで現地に来ていると耳にしました。それでも、この地に来て、エージェンシーのしかるべき人(そこには所属する会社が将来有望だと考えている若手も含まれます)と交流することに価値を見出しているのでしょう。
さらに、登録パスを買わずにカンヌに来ているエージェンシーやフリーランスの人にも何人か出会いました。ある人は、クライアントを含むグローバル・ネットワークの会議に出席するため、別のある人は、後述するネット関連企業との打合せや親交を深めるために来ています。カンヌライオンズとその周辺は、「重要なネットワーキング拠点」となっているようです。
ネットワーキングの重要性が、ますます拡大
注目すべきは、今年から新設された「ネットワーキング・パス」という登録カテゴリーです。このパスは、受賞作の閲覧やセミナー、贈賞式には出られないけれど、主なパーティやネットワークラウンジ(こちらも今年から新設)に出席したり、活用できたりするというパス。コンプリート・パスという全てにアクセスできる基本のパスが、約50万円(税込)のところ、このネットワーキング・パスは約30万円(税込)です。「安い!」と感じますか、それとも「高い?」いずれにしても、こういったパスのニーズが存在するということです。つまり、カンヌライオンズ出席者とネットワークをつくりビジネスに役立てたい、そのためなら30万円だって払う、という人々がいるのです。
そういった人々にとって、カンヌライオンズの主な価値は、受賞作でもセミナーでもなく、「そこに集まる人々」と「その人々とのビジネスにつながるネットワーキング」だということになります。
受賞作の概要はもちろん、主なセミナーもいまやネットで見られる時代。さらに今年、新設されたのが「デジタル・パス」。1万円ほど支払うと、ネット上で見られるコンテンツが格段に充実するというパスです。
受賞作やセミナーはデジタルでフォローできる一方で、生身の人間との「ネットワーキング」は、現地に行き、パーティなどしかるべき場所にアクセスすることでしか効果を上げられないと考えられます。そうしたことから、「ネットワーキング・パス」も生まれたのでしょう。
僕は以前から、カンヌライオンズの重要な価値のひとつに、「巨大な語り場としてのカンヌライオンズ」について言及してきました。ここに参加する人は、ほとんどが会社派遣の人々です。これだけ高額な費用を会社が負担するということは、現在すでに重要な地位を占めているか、将来重要な地位を占める人として嘱望されているかのどちらかだと考えられます。広告・マーケティング界のいわばエリートが集まり、1週間近くにわたってこの場で学び語り合って、また次のトレンドを創り上げていくわけです。
そういった人々が、今年で言えば1万6000人以上も集まるのです。これは、「ビジネスのためのネットワーキングの場」としても、相当な価値を持っていると想像できます。参加者の45%がエージェンシー、30%がクライアント、12%がメディア、5%が制作会社だと言います。エージェンシーからするとクライアントと親しくなる機会、プロダクションからするとエージェンシーと関係性をつくるビッグチャンスだと言えるでしょう。
実際、日本の制作会社から来ている人の何割かは、登録パスを買わないで現地に来ていると耳にしました。それでも、この地に来て、エージェンシーのしかるべき人(そこには所属する会社が将来有望だと考えている若手も含まれます)と交流することに価値を見出しているのでしょう。
さらに、登録パスを買わずにカンヌに来ているエージェンシーやフリーランスの人にも何人か出会いました。ある人は、クライアントを含むグローバル・ネットワークの会議に出席するため、別のある人は、後述するネット関連企業との打合せや親交を深めるために来ています。カンヌライオンズとその周辺は、「重要なネットワーキング拠点」となっているようです。