【速報】カンヌライオンズ2018現地レポート #03
戦略コンサルの台頭、ネットワーキングの重要性が高まるカンヌライオンズ【多摩美術大学 佐藤達郎】
2018/06/28
新たなプレーヤーの存在感も、ますます増加。
さて、もう1つの話題は「伝統的な参加者である広告代理店」以外の参加者、つまり新たなプレーヤーの存在感の増加についてです。なかでも、戦略コンサルティング会社の台頭と、プラットフォーム(ネット系のメディア/サービス企業)の活躍は、見逃せません。まず、戦略コンサルから見ていきましょう。この数年、デジタル分野の広告ビジネスにおける、戦略コンサルティング会社の台頭が著しいと報じられています。実際、デジタルに関するアメリカのエージェンシー・ランキングでは、IBMixがトップとなり、他にデロイト・デジタル、アクセンチュア・インタラクティブといった戦略コンサルティング会社が、トップ10に名を連ねています。
エージェンシー側の一部の人々は、この現象を「戦略コンサルによる侵略」といった言い方をして、警戒心を募らせています。カンヌライオンズでも実際に、戦略コンサル系会社の存在感は、年を追うごとに増大している印象があります。
今年を見ても、アクセンチュア・インタラクティブは実際に受賞し、停泊しているヨットを貸し切って、セミナーや懇親会を催していました。他にも、マッキンゼーのセミナーも開催されていました。僕は、このセミナーを聞いたのですが、クライアントやエージェンシーが行うセミナーのどちらとも異なる、独自のポジションを持っていたと思います。
もう一種類の重要なプレーヤーは、YouTubeを含むグーグル、フェイスブック、ツイッター、ピンタレストといったネット系企業、プラットフォームと呼ばれる企業です。これらの会社は、ビーチ沿いの幅広い場所に、自社独自のスペースを確保し、サービスの展示や関係各所とのネットワークを図っていました。
僕もこの2、3年はそういった場に、極力顔を出すようにしています(昨年、巨大な観覧車を受付前に設置し目立っていたスナップチャットは、何故か今年は目だった活動をしていませんでしたが)。
特にグーグルのビーチサイド・スペースは、ビーチバレーの施設も置かれるなど、遊び心満載の仕立てで、同社のカルチャーや考え方を存分に感じられる場所となっています。独自のセミナーも開催しており、チャーミングなスペースになっていたと思います。
そしてまた、先ほど言及したネットワーキングや「会場外でのビジネス・ミーティング」の大部分が、こうしたビーチサイド・スペースにいるネット関連会社が関係しているようです。実際、その分野の日本の広告代理店側の担当者は、カンヌに来たものの、ほとんどの時間をプラットフォーム側担当者(日本だけではなくグローバルの担当者)とのミーティングに費やした、と語っていました。
カンヌライオンズ2018は、「戦略コンサルの進出」や「会場外を含むビジネス・ネットワーキングとしての価値」が、また一段増加した年のように感じました。
さて、最終回となる第4回目のレポートは、「主な受賞作とその傾向について」を中心に考えて行きたいと思います。どうぞ、お楽しみに。
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