グローバルガイドライン作成に、英語に奮闘中!スイスの「社窓」から #6

ネスレ本社で体感。グローバル会議をスムーズに進行する方法

前回の記事:
スイスで初体験、自分の仕事量を上司と議論する「働き方会議」
 

グローバルでのツール導入を推進して発見


 日本で新型コロナウイルス感染症が再び拡大しているというニュースを見ました。現在(7月上旬)スイスでは感染者数の横ばい状態が続き、欧州の他国から入国できるようになるなど、比較的落ち着いています。私もトラブルのない生活を過ごせています。
 

 6月に入ってからは会社と自宅で交互に仕事しています。月・火は在宅ワーク、水・木・金曜は会社で仕事をするという日々です。最近の私の大きな仕事としては、ネスレ全体で導入するツールのプロジェクトマネジメントがありました。

 簡単に言えば、メディアを活用してキャンペーンをするときに、どのメディアが効果的かを測定できるツールで、すでにいくつかの限られた国と、ネスレが契約している4大グローバルエージェンシーで使用を認めていたのですが、その範囲をネスレと契約のある全世界のエージェンシーに広げることになったのです。

 私にとってグローバルでのツール導入の推進は初めての経験でしたので、大変なことが多くありました。効率的に、効果的に導入を進めていくために、プロジェクト進行における、社内のコーディネーション、各国に説明する順番が非常に大事で、議論を重ねる必要がありました。

 私からすれば、単純に各国に一斉に伝えればいいと考えていたのですが、本社では細分化する方法が一般的でした。その理由は、社内外での情報伝達がスムーズにいくように、社内への説明する順序、各マーケットに対しては、各々の状況によって興味範囲が違っているため、伝えるべきトピックスが変わること。もうひとつは一斉に伝えると各国のリテラシーの違いから、同じレベルの理解が得られているかがわからないことです。

 このとき、スイスから各国に対して、プレゼンテーションを実施したのですが、面白い発見がありました。各マーケットとは時差があるため2部に分けて、前半「アジア地区と欧州向け」、後半「米国地区と欧州向け」と行ったのですが、参加者の発言量がまるっきり違って、前半に比べて後半は質問を含めて、ものすごい量の発言が交わされていたんです。

 アジア地区は英語が他のエリアに比べて苦手であるという理由もありますが、後半パートの方が、内容はどうであれ、「質問することへの価値」が高いように思いました。質問することで、自分がこのプロジェクトに興味があって、参加していることを表そうとします。また、反対意見(ダイレクトフィードバック)もあります。

 また、プレゼンテーションでの役割も事前に決めて、ある程度事前にシミュレーションします。私がプレゼンター、その他の社員がファシリテーター、タイムキーパーと、きっちりと振り分けられます。私の直属の上司は会議全体をオーガナイズすることが多いのですが、その能力が桁違いに高いんです。議論の優先順位の見極めが早く、より議論すべき、これ以上議論するメリットがないと判断したら、すぐに別の議題に切り替えます。しかも、その間に他の議題のタイムスケジュールも考慮して、決めていっています。この力は、私自身も意識して身につけなければと思っています。

 あとは、日本で取り組んでいる企業は少ないと思うのですが、「プレリード」を活用することが多いです。プレゼンターが事前資料を用意して、参加者は事前に資料を読んでおくんです。

 そうすることで、内容を吸収する質とスピードが格段に上がります。準備する側は大変ですけど、かなりおすすめです。注意が必要なのは、プレリードの枚数です。多くて、2~3枚ですね。それ以上になると、読まれない傾向があります。

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