グローバルガイドライン作成に、英語に奮闘中!スイスの「社窓」から #6

ネスレ本社で体感。グローバル会議をスムーズに進行する方法

 

ネスレにおけるエージェンシーの評価システム


 6月末にはもうひとつエージェンシーの評価システムの設定と導入を担当しました。広告会社の評価システムは、日本では、あまり確立されていないように思いますし、どのように目標設定をすればよいか難しいと思います。評価システムは、学校の成績表のように、いくつかの項目と、それに対する評価を定量的・定性的に見られるようにしています。

 たとえば、「実施しているキャンペーンに対して協力的か」「クリエイティブの提案があるか」などの項目があって、その数値を算出していく流れです。この評価項目を社内の他チームにチェックしてもらい、その後にエージェンシー側と合意形成をしていきます。そして、完成したものを各国に展開する流れです。私自身、日本にいたときはグローバルで決定したものを使っていました。

 この展開においてもコロナの影響が出て、仕組みから変えざるを得ない事態が生じました。各国がコロナの対応に追われているため、これまでの方法を変える必要があったのです。そのために多くの議論を交わす必要があり、ローンチまでがかなり大変でした。
 

グローバルメディアマネージャーとしての役割




 私がグローバルメディアマネージャーとしてスイスに来てから、約半年が経ちました。1年という任期なので、ようやく折り返し地点に立ったところです。

 そもそもグローバルメディアマネージャーという役割ができたのがネスレで初めてのことでしたので、前任者に話を聞いたり、過去の取り組みを真似たりすることはできませんでした。試行錯誤しながら仕事自体をつくりながら進めてきた感があるのですが、徐々にこのポジションの役割がみえてきました。

 メインは、プロジェクトのコーディネート業務で、グローバルでは、ストラテジーのガイダンスはつくるものの、予算を持っていないので実行まではできません。だからこそ、スムーズに、そのガイダンスを導入してもらえるように、本社と全世界のマーケットを上手く結びつける調整力が必要だと思います。

 そして、もうひとつ大事な仕事として、ネスレにおけるグローバルメディアマネージャーの土台を築かないといけないと考えているところです。12月には新任の方がきて、引継ぐ予定になっていますからね。

 メディアのセクションマネージャーとして日本で働いていたときは、CMOとも近く意思決定のスピードも早いし、ある程度は自分でマネージできたのですが、本社にくると私の職級よりも、かなり上の人たちばかり。まるで下積み時代に戻ったように、会議の議事録やセッティングもこなしています。「グローバルメディアマネージャー」というタイトルにひかれて興味を持っている人も多いのですが、実際の期待とはギャップが大きいと思いますね。

 一方で、日本にいたときは、スイス本社からメールが来れば、その肩書きに恐縮して気軽に聞けなかったり、ミーティングでもあまり発言できたりしていませんでしたが、こちらに来て、彼らとのリレーションシップが築けるようになったので、そういう面ではすごくやりやすくなりました。会議でもフランクに質問できるようになったり、度胸がついたのかもしれません。

 そう変われた理由が3つあって、ひとつは本社の仕事の役割が理解できたこと。マーケットのリクエストに対して、どう本社が受け止めているのかを体験できて、フィードバックした方が彼らにとって良いとわかったんです。2つ目は、本社の人間と直接会って話をして、人間関係を構築できたため臆する要素がなくなったこと。3つ目は、先ほどお伝えしたように、内容はどうであれ「質問することを価値と思う文化」があって、怖気づく必要もないし、もし失言したとしても「それが何だ?」と思えるぐらいの心持ちになったことがあります。

 残り半年は、日本に戻ったときに今の経験をどう活かせるかという軸を持って、仕事を考えていかなければと思っています。手始めに、現在はコロナによってメールベースの交流となっているので、今後はもう少しフランクな関係づくりのために、普段接している人以外にも積極的に話しにいこうと思っているところです。
 
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