イスラエルマーケティング月報 #06

日本人マーケターがワクチン接種で体感。イスラエルの国家規模でのデータ活用と多様性

 

PCR検査とワクチン接種広告に見たジェンダーイコーリティ


 ワクチンを打った直後、息子の通う学校でコロナ陽性の生徒が出たとのことで、日本からの帰国後に引き続き息子はまた2週間自宅隔離を余儀なくされました。その場合、PCR検査を2回受けて陰性だった場合は隔離期間が10日間に短縮されるので、息子にPCR検査を受けさせる必要がありました。
 
PCRテストのドライブスルー拠点。

 そうして向かったPCR検査所は、公園の駐車場に白いテントを立ててドライブスルー方式で検査を実施しており、たくさんの車が列を作っていました。まず入り口でQRコードを印刷したチラシを渡され、それにアクセスすると氏名・住所・電話番号・性別を記入するフォームに誘導されます。

 特筆すべきは、性別の選択肢が4つあったこと!「男性」「女性」の選択肢の次に、「その他」「分からない」がありました。
 
選択肢には「男性」「女性」「その他」「分からない」。

 さすがレインボーパレードに25万人が参加するLGBTQの国。ジェンダーイコーリティー(男女格差の是正)や多様性がプロダクトにしっかり反映されているのは、イスラエルの良いところです。
 
息子は痛がることなく、PCR検査はほんの数十秒。結果は翌日にSMSにて届きました。

 また、イスラエルのジェンダーイコーリティーは、広告クリエイティブからも見て取れます。街でよく見かけるワクチン接種促進の広告も、男性版・女性版の両方が存在するのです。

 しかも写真を見てもらうとわかるように、女性版の描かれ方は、日本でつくるとこうはならないだろうなと思わされるクリエイティブです。強い女性・意思のある女性が魅力的という価値観が、なんとなく滲み出ているような気がします。
 
 
ワクチン接種を呼びかけるポスター広告。女性版と男性版がある。

 日本では、五輪組織委員会元委員長の発言が女性蔑視発言とされ、特に海外からは厳しい批判の声があがったと思いますが、イスラエルにいると海外の反応こそがグローバルスタンダードだと理解できます。

 皆さんも、携わっている広告やプロダクトに、ジェンダーイコーリティーや多様性がちゃんと反映されているか、これを機に考えてみてください。私も、自分にできることを最大限見つめていきたいと思っています。
 
筆者近影。ロックダウン明けの国立公園にて、アネモネと共に。


 ◎筆者プロフィール
 栗田宏美(くりた・ひろみ)
 Trendemon Marketing Director
 地域型メディアの広告企画営業、Web広告代理店コンサルタントを経て、2014年クレディセゾン入社。宣伝部を経てデータビジネス部兼CVCを兼務し、2020年3月より、出資先のスタートアップTrendemonに転籍出向中。イスラエル在住。
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