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海外ニュースから読み解くマーケティング・トレンド #03

「米国中心主義」のマーケティングの世界、そして英国と仏国からの確かな影響【ニューバランス 鈴木健】

前回の記事:
「デザイン思考」は、破壊的イノベーションをどうもたらすか【ニューバランス 鈴木健】

米国中心主義のマーケティング

 私たちが、ひと括りに呼んでいる「海外」や「欧米」という言葉は、実はそんなに単純ではない。彼らからアジアがひとつに見えても、現実がそうではないように。

 そして、マーケティングの世界で米国の影響が大きく見えるのは、グローバルで巨大なマーケティング企業が米国発祥の企業が多いからでもある。

 P&G、コカ・コーラ、IBM、マイクロソフト、アップル、グーグル、アマゾン。インターブランドのグローバルブランドランキングの上位を占める企業は、ほとんどが米国系企業である。

 マーケティングをビジネス上のエコシステムとして考えれば、大学や研究機関が最も多く存在することもあって、米国のマーケティングが先進的で優良だと思われている。それはマーケティング人材を、米国系企業に継続的に供給するためにも必要だと言ってよい。

 実際、スタートアップが盛んな西海岸、東海岸の大都市近辺には優れた大学が必ず存在している。そして、マーケティングの大家といわれる人物も、コトラーといい、ポーターといい、全て米国人である。このエコシステムは、他国でも見られるが、米国がもっとも明確に打ち出しているうえ、効果的に機能している。

 このような背景を考えると、マーケティングの思考体系が西欧中心主義ならぬ「米国中心主義」であることの指摘は難しくない。

 それと同時に、「日本のマーケティングが、米国と比べて後進的である」と常に言われ続ける理由を「オリエンタリズム(サイード)」として批判することもできる。
 
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 また、興味深いのは現在、中国で見られるリープフロッグ的(段階的ではなく、一足飛びに成長すること)な急速な進化と、21世紀の国家資本主義体制(19世紀のそれは重工業だったが、現在はテクノロジーをベースとしたICT産業にテコ入れしている)によって、彼らが新しい政治経済的なエコシステムを構築しつつあることである。

 そして、そこには米国の「自由な」経済的エコシステムを通じて、中国へ人材やビジネスリソースが流出し、同時に安価で優れた製品として米市場に逆輸入されている。これは1960年代から80年代にかけて、日本と米国との貿易関係に生じた関係と同じである。

 だが、この点を指摘することが本稿の趣旨ではない。

 ここでは米的なマーケティング思考と比較して、普段、日本でもあまり光が当たらない英国、そして仏国を始めとする大陸のマーケターを紹介していこう。
 

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