MAD STARS

アジアで唯一世界を対象にしている釜山国際広告祭、開催に伴いMAD STARSのチョイ氏と多摩美術大学の佐藤達郎氏による事前対談が実現

  8月25日から27日までの3日間、韓国釜山で「釜山国際広告祭MAD STARS」が開催される。釜山国際広告祭は2008年に始まり、今年で15周年を迎える韓国唯一の国際広告祭です。タイで開催されるADFEST、シンガポールで開催されるSpikes Asiaの後発として捉えられていますが、アジアで唯一、さらには非西欧圏で唯一、世界を対象に開催している国際広告祭でもあります。

 今回は、開催に向けてAgenda noteにて「カンヌライオンズ2022現地レポート」などの連載を持ち、国内外の広告賞に深い知見を持つ多摩美術大学 教授の佐藤達郎氏がMAD STARS 執行委員長のファン・ジン・チョイ(Hwan-Jin Choi)氏へのインタビューを行いました。釜山国際広告祭の意義や世界の広告祭と比較したときの特徴、マーケティング領域への拡大も視野に入れた新しい取り組みについて迫りました。
 

釜山国際広告祭を開催する意義とカンヌライオンズとの比較


佐藤 韓国で開催する広告賞の意義はどんな点にあると思いますか。また、アジアの中でどのような役割を果たしていると思いますか。

チョイ 釜山国際広告祭は、毎年10月に同じ釜山で開催される釜山国際映画祭の成功を見習って、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(通称:カンヌライオンズ)のように映画祭とインフラを共有しようという考えから生まれました。釜山国際映画祭などと共に「釜山をグローバル文化コンテンツ都市に育成しよう」という考えから私たちの歴史が始まりました。
 
MAD STARS 執行委員長
ファン・ジン・チョイ(Hwan-Jin Choi)氏
 
ADFESTやSpikes Asiaでは、応募作品をアジア太平洋地域などに限定していますが、釜山国際広告祭は、アジアで唯一地域を限定せずに世界を対象としている国際広告祭です。アジアに世界の広告を紹介し、ひいては世界にアジアの多様な広告を紹介するプラットフォームとしての役割を果たしています。今年で15周年を迎え、3年ぶりにリアルで開催されることが決定しています。出品数は、2017年に2万点を超えて以来、COVID-19の状況でも大きく減っておらず、出品国数も増え続けています。
  
MAD STARSの年度別出品国及び出品数

佐藤 釜山国際広告祭は、世界的にも有名な広告の祭典であるカンヌライオンズと比較して、どのような違いがありますか。

チョイ 釜山国際広告祭は、西欧で行われているカンヌライオンズと比較し、非西欧圏を代表する国際広告祭として位置づけられ、3つの差別化戦略を立ててスタートしました。現在でも、このようなコンセプトを維持しながら発展しています。

グローバルな広告祭の大半は欧米で開催されています。もちろん他の地域でも開催されていますが、それらのほとんどは地域広告祭です。我々MAD STARSは、欧米以外の地域で開催される唯一のグローバル広告祭です。

したがって、ひとつ目の差別点としてMAD STARSは、西欧中心の視点を超え、各大陸、国、文化、市場の多様性を尊重しています。そのため出品カテゴリーはもちろんのこと、審査員の構成にも工夫しています。審査委員は毎年諸国の出身者としており、出品カテゴリーにおいても広告の多文化的属性を尊重・奨励し、「Diverse Insights」部門を開設しています。 

この部門はユニークな地域文化などの特性をうまく活用している広告に高いスコアを与えるようにしています。

2つ目の差別点は開放性です。MAD STARSはプロフェッショナルだけでなく、一般の人の出品と参加を歓迎しています。そのため、私たちは無料出品という一般的ではない方式を採用しています。そのおかげで良いアイデアと作品をプロフェッショナルや一般人、先進国や途上国などの住んでいる地域に関係なく、誰でも気軽に出品できます。

また開催期間中に、カンファレンスとは別に、一般人と学生のための無料展示を運営しているほか、高校生のためのクリエイティブキャンプ、全世界の大学生のための広告コンペティションであるヤングスターズ、大学生のための就活説明会、ジョブマーケットなども運営していることも他の広告祭との差別点だと思います。

最後は、商業広告だけでなく、ひいては社会貢献活動などを含む公共広告部門の活性化も促しています。MAD STARSは、世界を変えるクリエイティブなソリューションを共有するプラットフォームとなり、人類の未来と発展に貢献しようと努めています。毎年、出品作品の中からグランプリ·オブ·ザ·イヤーの2作品を選定して授賞しますが、そのうちの1作品は必ず公共広告部門にしていて、賞金も1万ドルが授与されます。

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