MAD STARS

アジアで唯一世界を対象にしている釜山国際広告祭、開催に伴いMAD STARSのチョイ氏と多摩美術大学の佐藤達郎氏による事前対談が実現

 

MAD STARSに名前を変更した背景とは


佐藤 現在、韓国では広告だけではない幅広い仕事が広告会社に求められていることや、政府からの援助が少なくなっていることを受け、マーケティング領域も拡大していきたいと考えていると伺いました。そのなかで、釜山国際広告祭はマーケティングをどのように捉えていますか。また、MAD STARSに名前を変更した背景などを教えてください。
 
多摩美術大学 教授
佐藤 達郎氏

チョイ 釜山国際広告祭は、今年で15周年を迎え名称を「AD STARS」から「MAD STARS」に名称を変更しました。MADは広告人を意味する単語であり、奇想天外なアイデアを集めるという意味も込められています。特にデジタル化に伴い広告の領域と役割が拡大するにつれ、広告祭の領域も拡張させようと考えています。つまり、Mはマーケティング、Aは広告、Dはデジタルコンテンツを表した頭文字をとって「MAD STARS」になりました。名称だけ変えるのではなく、イベントの随所にマーケティングとデジタルコンテンツの領域を含めた内容が拡大しています。 

実際には来年からですが、出品カテゴリーにおいてマーケティングとデジタルコンテンツ部門を強化し、カンファレンスでもマーケティングとデジタルコンテンツのトレンドを把握することができるテーマでアジェンダの構成に力を入れていきます。

佐藤 今後、釜山国際広告祭をどのような広告祭にしていきたいですか?また、世界の広告、広告祭にどのような影響を与えていきたいですか。

チョイ 私たちは今後、非西欧圏代表の国際広告祭として定着すること目指しています。そのために、アジアを越え中東とアフリカのみならずヨーロッパ、北中南米の出品と参加のための活動をしていきます。

また、広告を越えてマーケティングとデジタルコンテンツ領域を拡大し、マーケターとデジタルコンテンツクリエイターの参加も拡大していきます。

さらに、グローバル人材育成のために現職で広告専門家として講師をしている方を招き、広告専門家を目指している人に実務教育を行う「グローバルマッドアカデミー」を、昨年オンラインでローンチしたことや関連分野のビジネスマッチングを活性化させるためのマーケットプレイスも構成しています。 

長期的には、マーケティング、広告、デジタルコンテンツの出展やコンベンション、教育、スタートアップなどのための常設機関である「釜山クリエイティブスクエア(仮称)」を計画中で、現在釜山市と設立推進計画を協議中です。

この2年間、新型コロナによってオンラインでやむを得ず開催した釜山国際広告祭は、オフラインを超えるほどのオンラインの力を確認することができました。昨年、3日間で142カ国から約2万4千名が参加したことは、とても鼓舞された記憶があります。 今年はオフラインとオンラインのハイブリッドイベントを通じて、より良い結果を出せるように最後まで最善を尽くしていきます。
   
     

今年の釜山国際広告祭ついての意気込み


佐藤 最後に、今月の開催に向けて意気込みをお願いいたします。

チョイ 釜山国際広告祭は「世の中を変える創造的なソリューションを共有」する韓国唯一の広告関連の国際イベントです。釜山国際広告祭は、今年で15周年を迎え「MAD STARS」に英文名を変更しました。今年は3年ぶりに釜山でオフラインにて開催され、韓日中の広告関連団体とも緊密な協力を通じて作品や参加者を募集中です。

今年の釜山国際広告祭は、名称変更を基点に多様な変化を図っていきます。 グローバル実務人材育成のために、昨年初めて披露した広告・マーケティング・デジタルテック・動画分野の専門アカデミーである「グローバルマッドアカデミー」を拡大と常時運営を行います。 また、グローバルビジネスマーケットを新設し、主要広告関連団体と企業、個人間のビーズマッチングを支援する計画です。

出品カテゴリーも変化する時代の特性に合わせて2023年から適用します。 最も目立つカテゴリの変化は業種別マーケティング戦略を評価するグループの新設です。 その他、類似したカテゴリを統合し、アイデアの背景と目標に沿ってグループを細分化するなどを現在、検討しています。

一方、MADをテーマに開催される今年のイベントは、8月25日から3日間、釜山海雲台の ベクスコ(BEXCO)一帯で開催され、オンラインでも参加することができます。 マーケティングの泰斗である、フィリップ·コトラー(Philip Kotler)教授をはじめとする広告専門家とマーケターがカンファレンスを通じて深い洞察を伝える予定であり、韓日中の広告トレンドを探る時間もあります。

マッドスターズ事務局は、3年ぶりのリアル開催に向けて、参加者の幅を広げネットワーキングの機会を提供できるよう最善の準備を尽くして参ります。
 

チョイ氏とのインタビューを終えて、佐藤氏によるコメント


佐藤 釜山国際広告祭は、私自身何度か現地参加していて、ユニークな広告祭だと認識していましたが、今回のインタビューを通してさまざまなことを再確認することができました。

その中でも私にとって、大きな特徴だと感じられるものは3点あります。1つ目は、応募費が無料であること。2つ目は、日本人にとっては隣国で開催されるため参加しやすいこと。3つ目は、大学生を対象としたコンペティションが開催されることです。

1つ目の応募費が無料であることに関しては、通常どの国際広告賞でも1点につき数万円程度の応募費がかかります。しかし、釜山国際広告祭の応募費は無料です。国際広告祭出品初心者の方は、特に出品しやすいのではないでしょうか。

2つ目の特徴は、他の国際広告祭開催地に比べると、釜山は日本から圧倒的に近い位置にあるため、日本人にとっては参加しやすいことです。また期間も3日間と短く、8月末に開催することもあり、会社からのオフィシャルな派遣ではなくても、個人の夏休みを利用して参加することなども可能でしょう。国際広告祭に初めて参加される方には、特にお勧めできると思います。

3つ目の特徴は、私が知る限り、学生向けのコンペティションを開催しているのは、釜山国際広告祭だけです。またその提出物も、デザイン能力が高くないと出せないといったものではなく、一般大学の学生でも十分に参加できます。チャレンジのしがいがあるコンペティションだと言えるでしょう。

また、MADは“広告人”と“奇想天外”を表すのだろうと想像していました。しかし、インタビューを通してM(マーケティング)、A(広告)、D(デジタルコンテンツ)を表すと知り、大変興味深かったです。これからも「釜山国際広告祭=MAD」の今後について、注視していきたいと思います。
 

第15回 釜山国際広告祭開催概要

 
名称
MAD STARS 2022(釜山国際広告祭)
日時
2022年8月25日(木)~27日(土)
会場
BEXCO, Busan, Korea
※Busan Exhibition and Convention Center(韓国・釜山広域市海雲台区にある国際コンベンションセンター)
主催
MAD STARS Organizing Committee (社)釜山国際広告祭組織委員会
公式サイト
https://www.adstars.org/adstar/main/AdstarMainView.do
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