ADFEST 2023レポート

「広告」を越えた、「社会課題」の発見が求められている【リクルート 萩原幸也 「ADFEST 2023」現地レポート】

 アジアを代表する広告クリエイティブの祭典「ADFEST 2023(アドフェスト2023)」。毎年3月にタイのパタヤで開催されていましたが、2020年から2022年はコロナ禍で現地開催は中止となり、オンライン審査のみが実施されていました。そして2023年、3年ぶりに3月23日から25日にかけてリアルで開催され、例年にも増して注目作品が集まりました。そこで現地で参加した感想と、特徴的だった受賞作についてリクルート マーケティング室 CDの萩原幸也氏にレポートしてもらいました。
 

3年ぶりにリアル開催のアドフェスト2023


 こんにちは。リクルートでクリエイティブディレクターをしている萩原幸也です。私はアドフェストに2015年に参加したことがあり、今回は8年ぶりの2度目の参加でした。

 アドフェストは、カンヌライオンズをアジアで開催するという創設者の想いを込め1998年に誕生した広告祭です。現在ではアワード、セミナー、ネットワーキングという要素で構成されたアジア最大級の広告クリエイティブの祭典に成長しています。世界各国からマーケティング、広告、クリエイティブ業界のトップが集い、課題解決のアイデア交換やインスピレーションを得るための場になっています。

 まずは、3年ぶりにリアルで開催された現地の様子を写真で紹介していきます。



 アドフェストでは、毎年コンセプトが設定されます。今年は「RISE(上昇)」でした。コロナ禍を経て、3年ぶりの開催にふさわしいテーマですね。
  
エントリーされた作品の展示会場の様子

 こちらの写真は、アワードのエントリーに使用されたパネルや映像などが展示されている場所です。受賞作品以外の情報が閲覧できるのは貴重です。
  
ネットワーキングパーティーの様子

 公式のネットワーキングパーティーは、初日と最終日に行われました。公式以外のネットワーキングパーティーも、各所で開催されていました。
 

すべてのクリエイティブは、記憶に残るか消え去るか


アリ・レズ氏によるセミナーの様子

「RISE, BUT IN A MEMORABLE WAY」IMPACT BBDO Group MENAP

 次に印象的だったセミナーを1つ紹介します。キャンペーン誌で2度クリエイティブ・オブ・ザ・イヤーに選ばれたアリ・レズ氏によるセミナーです。 

 彼は冒頭で、チェコ出身の小説家であるフランツ・カフカの代表作『変身』から「ある朝、目が覚めると巨大な毒虫になっていた」という一節を引用し、ここに創造性において重要な教訓があると話します。

 仮に、このシーンがいつもの朝の風景であれば、誰の記憶に残らない。そして、人の意思決定には記憶が作用する。つまり、すべてのクリエイティブは記憶に残るか、消え去るかであり、クリエイターもクライアントも記憶に残るための判断をしていく必要があるということです。

 ここから、実際の事例をもとに記憶に残るクリエイティブを紹介していきました。この中でも紹介され、本年度の「FILM CRAFT LOTUS」という部門でSILVERを受賞したCMをご覧ください。ちなみに、会場では爆笑が巻き起こっていました。
  引用:ADFEST 2023

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