【速報】カンヌライオンズ2023現地レポート #02

AI、AI、AI…。カンヌライオンズ2023で最も耳に入って来たキーワードは「生成AI」だった

前回の記事:
【速報】70周年「カンヌライオンズ2023」の特徴は、クリエイティビティを必要とする業種の広範化
 この記事を執筆しているのは、カンヌライオンズ最終日6月23日の日中です。私は毎年カンヌライオンズに来ると、滞在中は傾向の分析などは試みずに、ひたすら見たり聞いたりするように努めています。

 しかも、あまり細かく見たり聞いたりしないで、「その年、最も耳に入ってきた言葉やフレーズ、概念は何か?」に気持ちを集中し、後で調べたり考えたりします。200近いセミナーや1000にも上るブロンズ以上の受賞作は多様性に溢れているので、このやり方がその年の傾向を掴みやすいと考えているからです。

 それは年によって「Social Good」や「Social Experiment」、「Embrace the Change」、「Brand Purpose」でした。そして2023年は、「AI/ChatGPT/Generative AI(生成AI)」だったのです。
 

ドラガ率いるアクセンチュア・ソングのセミナーに注目


贈賞式に向かう参加者達。特に受賞者じゃなくても、みんな赤カーペットを昇って行く。
 
会場敷地内では、無料のアイスキャンディも配られていて、何故か“アルコール入り”のものも。
 
サブ会場であるパレⅡにも、セミナー用の大きめの会場が。

 あるドイツ人審査員(ダイレクト部門)が今年の審査会の様子を話すのを、間近で聞く機会があり、彼はつぶやくようにこう言いました。

「AI, AI, AI・・・. Everybody is talking about AI」

 また、プリント&パブリッシング部門の審査員長は贈賞式のスピーチで「審査会でもAIについて随分と話し合った。今年の審査員に相応しいのは誰?と、生成AIに聞いてみたりもしたよ」といった趣旨の話を冗談も交えて語っていました。

 セミナーでも、AIを題材としたものが多く見られました。 AIをテーマの中心としたセミナーを試みに幾つか拾ってみます。

「AI Unleashed:How AI Is Revolutionising How We Live, Work and Create」
「Generative AI:Transforming Search and Advertising」
「Bold and Responsible : The Creative and Transformational Posibilities of AI」
「Chat GPT, DALL・E and the Future of Creativity」

 などなど…。他にも題名にAIという言葉を使っていなくでも、テクノロジーやメタバースなどAI関連に言及しているセミナーが多数見受けられました。

 その多くは「AIを恐れず、積極的に活用すべきだ」といった内容でした。中には、「F★CK AI, Let’s Go Analog With David Shing(AIなんかクソくらえ! アナログで行こうぜ)」もありましたが、少数派だったように感じます。

 そんなAIをメインに取り上げたセミナーの中でも、クリエイティブ業界のレジェンドであるデイビッド・ドラガが率いるアクセンチュア・ソング(ソング)が登壇したものを少し紹介しましょう。なお、アクセンチュアは戦略コンサルティング会社ですが、クリエイティブ業界にも大きく進出しています。その会社がアクセンチュア・ソングであり、社長をデイビッド・ドラガが務めています。


アクセンチュア・ソングのセミナーで数字を示して語るデイビッド・ドラガ

 このセミナーの題名は「Song Simplifies Talent : Technology is Creative」です。最初にデイビッド・ドラガが語ったのは、「ソングは、テクノロジーによってパワーアップされた世界最大のクリエイティブ・グループ」だということでした。僕にとって、その発言はとても感慨深いものです。なぜならば、自分が知っている彼の経歴との間に、大きな落差を感じたからです。

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