【速報】カンヌライオンズ2023現地レポート #02

AI、AI、AI…。カンヌライオンズ2023で最も耳に入って来たキーワードは「生成AI」だった

 

ドラガが考える「新しいクリエイティブ・チームの在り方」


 デイビッド・ドラガは若い頃、クリエイティブ・エージェンシーのクリエイティターとして、テレビCM中心に賞を獲りまくります。

 その後、彼自身の会社として「ドラガ5」を起こしてからも、統合型ソリューション的なクリエイティブに少し方向を変えながら、やはり賞を獲りまくります。アイデアに溢れている(そして必ずしも、テクノロジーによってパワーアップされていたという印象でもない)数々のコミュニケーション施策によってです。

 彼には、テクノロジーというよりも、クリエイター代表のようなイメージがあります。
  
メイン会場のルミエール・シアター。ソングのセミナーも贈賞式もここ。

 セミナーは、デイビッド・ドラガに加えて、クリエイティブのトップ、そしてデータ&AI部門のトップの3人によって進められました。それによると、ここしばらくの間に、ソングは30億ドル(約3900億円)をAIに投資したと言います。そして8万人のAI人材を採用し、1496のAI関連特許を取得したそうです。

 彼らは、これまでの人類の歴史を振り返りながら、「テクノロジーは、クリエイティブなんだ」と言い切ります。ソングは2000のAI関連プロジェクトを動かしていて、そのうちの100は生成AIに関連するものだそうです。生成AIを使って「あなたの脳以外から、アイデアを得よう!」と、活用に積極的な姿勢を示します。

 さらに、広告業界では有名な「コピーとアートの結婚」の話を振り返ります。これはDDBスタイルとも呼ばれ、以前はコピーライターがコピーを書き、それをアルバイトが下の階に届けて、そこにいるアートディレクター(広告デザイナー)がビジュアルを考えていたという完全な分業制を、コピーライターとアートディレクターによる完全な協業システムに変えた、という今では伝説的な話です。

 そして、この協業を「これからは人間とAIで行い、それが新しいクリエイティブ・チームの在り方なのだ」と力説しました。


 ところで、日経新聞社が運営している「日経カバナ」で登壇した、日本の伝説的クリエイターは、「もともと広告は、最先端テクノロジーをどこよりも早く取り入れることで、生き延びてきたものなのだ」という趣旨の発言をされていました。

  
日本事務局を務める日経新聞社によるスペース「日経カバナ」。

 まさにカンヌライオンズでは、AI(生成AI)といった最先端のテクノロジーを素早く取り入れている真っ最中という様相を呈していました。今回は触れませんが、受賞作にもテクノロジー活用が重要なキーになっているものが、とても多かったように思います。

 実は、私は生成AIを自分で使うことは否定的だったのですが、「そうも言ってられないな。具体的に使い始めてみようかな」と思わせられた、今年のカンヌライオンズでした。
 
今年は会場内に、こうしたリラックス用スペースも。
 
カンヌライオンズ参加者向けと思われる、夜空に現れたQRコード。テクノロジー系の会社のものらしい。
 
宿泊しているホテルの朝食会場からの眺め。いかにも南仏らしい街の配色。
 
港には、超巨大な豪華客船も停泊している。

 この「カンヌライオンズ2023」の速報レポートもあと2回です。第3回目と第4回目は、日本帰国後のなるべく早いタイミングで皆さんにお届けするつもりです。楽しみにお待ちください!
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