MAD STARS

若手マーケターやクリエイターの育成に注力、韓国・釜山開催の国際広告際「MAD STARS2023」現地レポート

 

63カ国から2万点以上の作品が集まる「MAD STARS2023」


 8月23日から25日にかけて、釜山広域市海雲台区にある国際コンベンションセンターのBEXCOにて開催された韓国の国際広告祭「MAD STARS2023」にAgenda note編集部の小出が参加してきました。今回は会場の様子とともに、同広告祭が強化している若手向けの取り組みを現地レポートとしてお届けします。

 MAD STARSは、今年で16年目を迎えた韓国唯一の国際広告祭です。タイで開催されるADFEST、シンガポールで開催されるSpikes Asiaの後発として捉えられていますが、非西欧圏では唯一、地域を限定せずに世界中から作品を募集しています。

 今年のテーマは、「REBOOT!(再起動)」です。ポストパンデミック時代に向けたリフレッシュを祝い、世界を変える創造性を鼓舞することを目的としています。
  
MAD STARS 2023会場のBEXCO
  
MAD STARS会場内の受付周辺。
  
MAD STARS会場内の受付周辺にある撮影ブース。

 63カ国から2万点以上の作品が集まり、主に6つのGroup(上位カテゴリ)に分かれて審査が行われました。

 また、今年からPSA(Public Service Advertising)という公共の利益を目的とする公共広告のカテゴリが新設されました。この部門は、環境保護、人権伸張、教育および健康改善といった人類の幸福および企業の社会的責任に基づいたキャンペーンが対象になります。企業だけではなく非営利団体やNGOなどの公共機関にもマーケティングコミュニケーションが求められていることの表れです。

 この部門では、韓国のCheil Worldwide Koreaが韓国警察庁のキャンペーン「Knock Knock」がグランプリに輝きました。「Knock Knock」とは、韓国国内の家庭内暴力にフォーカスした企画です。韓国では過去8年間で家庭内暴力が718%増加していますが、警察に通報されるのはわずか2%です。加害者と被害者が同じ空間にいることで、話すことができない被害者をどのように助けるかを考え、モールス信号からヒントを得て危険にさらされた被害者が何も言わずに警察に通報できる点がユニークなポイントです。

 被害者は、112に電話をかけた後に任意の番号を2回タップするだけで、警察にリンクが送信されます。これにより警察は被害者のカメラを通じて状況を監視して、位置を追跡、Googleの検索ページに見せかけたアプリを通じて、加害者に気づかれないようにチャットすることが可能になります。警察は、被害者に対して即座に的確な行動を起こすことができます。

 現在、「Knock Knock」は全国4800人の警察通報担当者に導入され、ネイルサロン、ヘアサロンなど女性がよく利用する場所を通じて広く知られるようになっています。このキャンペーンの開始後、緊急事態の発信が 5749 件送信され、「Knock Knock」は正式に韓国における公式の緊急通報となりました。
 
  
MAD STARS 作品展示の風景。
  
PSA(Public Service Advertising)でファイナリストに選ばれた作品の一部。

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