MAD STARS

若手マーケターやクリエイターの育成に注力、韓国・釜山開催の国際広告際「MAD STARS2023」現地レポート

 

若手クリエイターと大学生のためのコンペティションを実施


 MAD STARS2023内で、ひとつのテーマに基づいて、企画案を競い合うコンペティション「NEW STARS MAD Competition」は4年ぶりにオフラインで開催されました。広告やマーケティングに携わる5年以下のクリエイター約100人が参加し、30時間以内にテーマに合わせて広告やアイデアを制作し競い合いました。

 課題は、「ポジティブ・ペアレンティング」のキャンペーンアイデアで、韓国の国立子ども権利センターのために、親子間の相互理解を促進し、成長を促すことでした。金賞を受賞したのは、インドネシアのALVA Olrangeの「THE ABUSIVE APPLIANCES」というキャンペーンです。この作品は、児童虐待の中でも特に身体的虐待にフォーカスした企画です。虐待で悪用される道具は、多くの人々の生活にとって手軽に入手できる道具が多く、虐待に使っている製品の正しい使い方を認識することが重要であるとしました。

 そこで、NCRC(子どもの権利条約ネットワーク)と大手家電メーカーのHomeplusが協力して健全なしつけをしながら子どもを育てるためのガイドを作成しました。日用品が児童虐待の道具として悪用されるのを防ぐために、製品を購入した人に視覚的な注意喚起と教育ツールの提供を行い、家庭用品の責任ある使用と暴力的ではないしつけの重要性を目的としたところが評価されました。

 また、製品をひとつ購入するごとに売上の一部が児童虐待の被害者支援に与えられ、全国の保護施設に寄付されます。NCRCとHomeplusは、児童虐待の廃絶に向けて、すべての人にとっての明るい未来を育む親子間の健全で育成的な関係の成長を促進することです。
  
「NEW STARS MAD Competition」の金賞を受賞した作品

 さらに、MAD STARSでは、大学生やクリエイティブ経験の少ないクリエイターなどのコンペティションを通して若手の育成にも力を入れています。

「Young Stars MAD Competition」として世界中の大学生、約100人が集まりワークショップやセッションを通して広告やマーケティングに精通している人から学びながら、広告業界で働くことがどのようなものかを体験しました。

 課題は、韓国の高齢社会や人口政策の大統領委員会のために「子連れでハピネス」というアイデアを広めるという内容で、中国・上海師範大学の学生2名が金賞を受賞しました。
  
「Young Stars MAD Competition」の金賞を受賞した作品
  
4年ぶりにオフライン開催された「NEW STARS MAD Competition」の展示。
  
4年ぶりのオフライン開催を記念し、「Conversation with the New Stars Jury」と題して、NEW STARS MAD Competitionに関するスペシャルセッションが開催されました。
 

アジア全体で若手マーケターを育成


 昨年に引き続き、MAD STARSと、日本でマーケティング領域のカンファレンスや塾を主催するナノベーションは提携しています。これは、MAD STARSとナノベーションが開催しているカンファレンスで登壇されるスピーカー、参加者、スポンサーを共有することで、アジアのマーケティングや広告界全体の活性化を目的としています。

 MAD STARS 執行委員長のファン・ジン・チョイ(Hwan-Jin Choi)氏は、ナノベーションが主催する、次世代を担うマーケターが集まるカンファレンス「ライジングアジェンダ」や若手マーケターに必要な議論と共創のための学びのキャンパス「ライジングキャンプ」の開催について「アジア全体の広告やマーケティング領域の活性化のために、若手向けのカンファレンスを実施することは素晴らしい」と話していました。

 広告やマーケティング領域では若手マーケターやクリエイターの育成とさらなる活躍の場を広げる取り組みが求められています。今後も、日本だけに留まらず、アジア全体の広告・マーケティング領域のマーケターやクリエイター育成の動向に注目していきます。
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