ADFEST 2024現地レポート #02
人間の感情を動かすクリエイティブとは?「ADFEST 2024」受賞作品をリクルート CDの萩原幸也氏が解説
アジアを代表する広告クリエイティブの祭典「ADFEST 2024(アドフェスト2024)」。今年は3月21日から23日に、タイのパタヤで開催されました。会場には55都市から747人の参加者が集まり、51のスピーカー・セッション、アワード、ネットワーキングパーティーなど盛り上がりを見せました。リクルート マーケティング室 CDの萩原幸也氏が、前編では会場の様子と今年のテーマである「HI(Human Intelligence)」と対立構造にあるAIについて解説しました。後編では、特徴的だった日本と海外の受賞作品を解説します。
日本からはJRグループと相鉄グループなど多数の受賞
まずは、日本からの受賞作品を2つ紹介します。昨年は、日本の受賞は少なかったのですが、今年は次の2作品の快進もあり、多くのトロフィーを獲得していました。関係者の皆様、おめでとうございます。
① 作品タイトル:「MY JAPAN RAILWAY」JR Group
DESIGN LOTUS GRANDE他、GRANDEを4つ、GOLDを4つ受賞
JRグループ6社による共同キャンペーンです。JRグループの鉄道開業150年を機に、今一度移動の喜びや鉄道への愛着を増幅させることを目的に、ユーザーとの関係を深めるブランド体験でありながら、鉄道利用を促進する仕組みを目指した施策です。該当する駅の近くに行くとスマホ内サイトでスタンプが押せるデジタル版スタンプは、昔ながらの駅スタンプのように、押した強さでかすれ具合が変わり、押した日時や何番目に押したかも記録されます。
引用:ADFEST 2024
② 作品タイトル:「A TRAIN OF MEMORIES」Sotetsu Holdings
FILM CRAFT LOTUS GRANDE、他GOLDを4つ受賞
相鉄・東急直通線開業記念ムービーです。相鉄線車内を舞台に、幼少期・思春期・反抗期など小学生から高校卒業までさまざまに変化していく父と娘の12年間の物語を描いています。キャストには、タレントのオダギリジョーさんと山﨑天さんを起用し、“25人のオダギリジョー” と、“25人の山﨑天”、“50人の時間差演技”、“25台のループ車両”といった、前代未聞のワンカット撮影を200人以上のクルーで実現しました。
引用:ADFEST 2024
海外の受賞作品で特に注目された4作品
ここからは、海外からの受賞作品を紹介します。アワードは「LOTUS(ロータス)」という22のカテゴリーから構成されていますが、ひとつの作品がいくつものカテゴリーで受賞するというケースもあります。紹介するのは、多くの賞を受賞し、今年のアドフェストを象徴するような4つの作品です。
■ 作品タイトル:「McDonald's Wi-Fries」McDonald's
DIRECT LOTUS GRANDEなどを受賞
インドネシアは、インターネットが遅いことで有名です。しかし、全店のマクドナルドでは高速のwi-fiが使えます。マクドナルドのアプリに組み込まれた回線速度チェックで自宅の回線速度が、店舗の回線速度よりも遅いとフライドポテトがもらえるというキャンペーンを行いました。
引用:ADFEST 2024
■ 作品タイトル:「Newspapers Inside The Newspaper」AnNahar
MEDIA LOTUS GRANDEなどを受賞
レバノンでは、権力や不正を公に批判する新聞社は圧力により閉鎖に追い込まれていました。新聞社アンナハルは見開きごとにすでに廃刊した6紙の新聞記事を掲載。それぞれの新聞のデザインを再現、それぞれ、当時の記者たちが各ページの執筆を担当しました。
引用:ADFEST 2024
◼︎ 作品タイトル:「Mom's Bed」McDonald's
OUTDOOR LOTUS GRANDEなどを受賞
韓国では入院中の子供に親が付き添うことが義務になっていますが、母親は160×60cmの介護用ベッドで長期間の生活を強いられることになります。ソウル市のベンチの寸法は介護用ベッドに近く、これを利用して世間にこの問題を伝え募金を募りました。
引用:ADFEST 2024
◼︎ 作品タイトル:「Sammakorn Not Sanpakorn」Sanpakorn
MEDIA LOTUS GRANDEなどを受賞
タイの住宅メーカーである「サマコーン」は歳入局「サパコーン」と名前が近いせいで様々な困難に直面していました。という実話をもとにした映像作品です。
引用:ADFEST 2024