【速報】ブランドマーケターからみたカンヌライオンズ2024 #01
ブランドマーケターからみる「カンヌライオンズ2024」とは?【ヤマハ加藤剛士氏】
ブランド企業に求められるエージェンシーとの向き合い方
会期前からもカンヌライオンズの公式サイトではさまざまな情報発信がありますが、プログラムなどに影響を与えるその年のキーワードやテーマの中に、「Your agency finds it hard to work with you, they just won’t tell you.(あなたのエージェンシーはあなたと働くのが難しいと感じていますが、それを伝えてはくれません)」という1文と、クリエイティブエージェンシーの約45%がクライアントとの関係に困難を抱えているというものが印象的でした。先ほどのマクドナルドのセッションでも、グローバルCMOが新技術や他社との協業など、チャレンジリスクに対して信頼をもって「YES」と言うという文脈と関連してくると感じました。同様の言及が英国を拠点に世界で展開するクリエイティブエージェンシーのSaatchi社やInside the Jury(審査) Roomでも聞かれ、明らかな潮流として特にブランド企業の意識変革を業界全体として求めていることを感じます。
おそらくそのような見解は、クリエイティビティで細分化と専門性が劇的に進んでいるからだと思いますが、その対象が「人と人」や「組織と組織」と、お互いの「信頼」という言葉でつないでいるのが考えさせられます。
ところで、今回記憶に残ったのはテラスでのセミナーで「なぜクリエイティブエージェンシーはアワードを目指すのか?」という問いに対して、クリエイティブディレクターのひとりが「コンペの数を減らすため(笑)」とぶっちゃけていました。この話は本当に根深い話しとして持ち帰りました。
日本でも話題になった、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手のホームランをきっかけに広がった米国のビールブランドCoorsの広告を仕掛けたクリエイティブディレクターです(左から2番目)
「やらまいか!」と、感じたカンヌライオンズ
さて、クリエイティビティの祭典なので前編の最後に、ここまでのアワードを日本勢の視点で紹介します。マクドナルドの「NO SMILES」と「Happiness found in the ordinary moments」の2つや、亀屋良長の「EDIBLE LITERATURE」を中心に、特に柔軟な視座や強いリザルトの視点でメモをたくさん取ることとなりました。
とはいえ、現実を直視するという意味では、世界の中での日本の存在感は受賞の観点できっと、「もっと大きくてもいい」、それも「現状比でかなり」だと参加して感じました。授賞式を見ながら、ふとそんな気持ちにさせられました。
「自社が〇〇」などといっている場合ではないと思います。おそらくブランド企業のマーケターはもっと頑張れ!というのが本質なんでしょうね。ヤマハの本社でもあり、私の出身地でもある静岡県の浜松流でいうと「やらまいか!(とにかくやってみよう)」だと感じた2回目のカンヌライオンズです。
海外の企業が授賞している様子
後編では、カンヌライオンズに参加して見えてきた今年の潮流や、ブランド企業が受賞を目指すという部分についてレポートしたいと思います。それでは。
※後編 ブランドマーケターがカンヌライオンズを目指す意義とは?ヤマハ「だれでも第九」のエントリーで感じた学びと本音 に続く
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