【速報】カンヌライオンズ2024現地レポート #03
ユニリーバ CMO講演で感じた「本気パワー」の大切さ。カンヌライオンズ2024から持ち帰ったもの
「チーム熱」もカンヌはすごかった
僕の心に残っているもの、次は「チーム熱」です。贈賞式の登壇者の写真を見てください。
凄くないですか、この盛り上がり。しかも、このキメのポーズに至る以前に、壇上に集まって、チーム内のそこかしこで個別に熱いハグもかわされていました。この受賞シーンでは例年喜びの爆発が見られるのですが、今年はいつも以上に「チーム熱」が感じられました。
チームでこんなに熱く盛り上がるのを見るのって、チームスポーツの国別対抗戦くらいでしょう。でもこの人たちは、単なるビジネス仲間なのです。普通のビジネスパーソンが、こんな風にチームで熱くなることは、あるのでしょうか? 一般的な生活を送っていて、こんな瞬間はなかなか訪れないですよね。
もちろん、約2万6753点にも及ぶ応募作のうち、わずか1%ほどだというカンヌライオンズのゴールド以上、それを受賞した喜びを爆発させてはいるわけですが…。でも、それだけではない気がします。
逆に、これだけ熱いチームをつくり上げられたからこそ、ゴールド以上を受賞するような素晴らしい取り組みを着想し、実施することができたのでは?と考えられます。「いい仕事がしたかったら、熱いチームを作れ!」、そんな警句も頭に浮かびました。
そして最後に心に残ったものは「ヒューマニティ&ヒューモア」です。両方とも「ヒューマン(人間)」に関係すると考えて、あえてユーモアではなくヒューモア(Humour)と記しました。カンヌライオンズ公式のラップアップと呼ばれる振り返りレポートがすでに出ているのですが、その冒頭に掲げられている言葉もこの「ヒューマニティ&ヒューモア」でした。
生成AIを始めとする先端テクノロジーを活用するのはもう当たり前で、それだけでは賞に値する優秀作とは認められません。こうした時代だからこそ、先端テクノロジーを活用しつつも、「ヒューマニティ&ヒューモア」をアイデアのコアに置いた受賞作が数多く見られました。
ひとつだけ例を紹介しましょう。アウトドア部門グランプリなどを受賞したマグナム・アイスクリームの「Find Your Summer」です。英国の冬は厳しい天候で、1日平均2.4時間の日照しか無く、人々は寒さに縮こまり、40%の人は夏より不幸だと感じています。もちろんアイスクリームの売上も、夏場の半分以下に激減します。
そこで、マグナム・アイスクリームは、英国の街角で、ビルの上で、室内で、わずかに差し込む太陽の光に当たりながら、マグナム・アイスクリームを食べれば、それは僅かだけれども「あなたの夏だ」とアウトドア広告や新聞広告、雑誌広告などでメッセージしました。さらには、デジタルサイネージで、今この時に光が指している近所の場所を表示することも実施しました。
なんてヒューマニティ溢れる広告コミュニケーションでしょう。そしてそこはかとないヒューモアも感じますよね。
このカンヌライオンズ2024の速報レポートもあと1回です。最後の第4回目は、この後なるべく早いタイミングで皆さんにお届けするつもりですので、楽しみにお待ちください!
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