【速報】カンヌライオンズ2024現地レポート #04
カンヌライオンズ2024 話題作を3つの特徴で分析「社会課題解決は、啓蒙から実効性へ」
第2の特徴は「統制から柔軟性へ」
そして、第2の特徴としては、「統制から柔軟性へ」とでも言えそうなものが挙げられます。先端テクノロジーの現在の流れであるWEB3においても、DAO(分散型自律組織)と言われる自由でフレキシブルな存在が重んじられています。世の中は全体として、統制から柔軟性へと大きくシフトしている感覚があります。その流れが広告クリエイティブにも影響を与え始めているようです。具体的には、アイデアのコアに、従来厳格な運用を求められた「ロゴ」のフレキシブルな使用が存在している事例です。
従来、広告クリエイティブの世界において、ロゴはいわば神聖なものでした。その使い方は厳密に規定され、かつてはぶ厚いマニュアルが作られたほどです。しかし今年の受賞作には、ロゴを大変にフレキシブルに運用している事例が複数見られました。
その特徴を最も色濃く持っていたのは、クリエイティブBtoB部門ゴールド等をを受賞した、コカ・コーラの「Thanks for Coke Creating」です。もちろん、Coke CreatigはCo-Creatingのモジりでしょう。
これは、世界中の街角にある小さな食料雑貨店の壁などで、Coca-Colaのロゴが、愛を持ってではありますが、自分たち流に勝手に描き替えられていることに目をつけたもの。昔風の考え方で言えば、厳密なロゴの運用からは完全に外れていて、歓迎すべきものではありません。しかし、このキャンペーンでは、そうした“自家製ロゴ”をCo-Creating(共創)として歓迎し、アウトドア広告やパッケージに活用したのです。
コカ・コーラ「Thanks for Coke Creating」
もう1つの事例は、アウトドア部門ゴールド等を受賞した、British Airways(英国航空)の「WINDOWS」です。「WINDOWS」については、この現地報告の第1回目でご紹介しましたが、全体の半分以下の切れた状態でしか掲示しないなど、ロゴの運用は大変に柔軟でした。