HANNOVER MESSE 2025 現地レポート #03

ソニーのAI搭載センサーや住友電工の革新素材、「Hannover Messe 2025」で示した日本の活路【電通 森直樹氏】

 

ロボットとの遭遇率はCES以上?インパクトあるロボットの数々


 今回、会場のいたる所で四足歩行や二足歩行の人形ロボット、日本のファミレスにあるような配膳ロボットなど、さまざまなロボットを見かけた。ハノーファー・メッセではロボット専用の出展エリアと、カンファレンスセッションが多く用意されていた。また、他の製造機械のように具体的な実装を想起される展示というわけではないものの、近い将来にこのロボットたちがハノーファー・メッセにおける主役の一角を担う存在になることは間違いないだろう。
    
           

 以上で、製造業のバリューチェーン、特にマニュファクチャリングに焦点を当てたハノーファー・メッセの現地レポートを締めくくりたい。初の参加となった今回、欧州を代表するテック企業や製造業、そして米国ビックテックのエコシステムの結びつきは、想像以上に強く、製造業の世界を本気で変えていこうという意気込みと熱量を感じた5日間であった。

 特に、ドイツのSIEMENSと米国のNVIDIAをはじめとするビックテックとの連携による、プラットフォーム化とオープンイノベーションの推進は、かつて米国の家電市場を席巻したSamsungやLGの取り組みを思い起こさせた。今後、生成AIの活用が製造業の上流から下流まで広がっていく中で、SIEMENSのようなエコシステムを中心とした取り組みは、より一層その強みを発揮していくことになるだろう。

 また、SIEMENSやSchneider Electronics(シュナイダーエレクトリック)など欧州の製造業リーダー企業に強く関心したのは、展示とプレゼンテーションのクオリティだ。ブランドの統一やシンプルなメッセージ、わかりやすく構造化され洗練化された図表。こうしたアウトプットの質の高さは、複雑なシステムや要素技術の理解を促すうえで、極めて効果的手法であると感じた。こうした発見や気づきが、日本のBtoB製造業を担うマーケターの皆さまにとって、参考になれば幸いである。
 
株式会社電通
ビジネストランスフォーメーション・クリエイティブセンター エクスペリエンス・デザイン
部長/クリエイティブディレクター

 光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。米デザインコンサルティングファームであるfrog社との協業及び国内企業への事業展開、デジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。2023年まで公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構の幹事(モバイル委員長)を務める。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST(INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia(PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo公式スピーカー他、講演多数。CESでは、ライフワークとして各種メディアに10年以上の寄稿経験がある。
他の連載記事:
HANNOVER MESSE 2025 現地レポート の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録