江端浩人のAdvertising Week New York 2018レポート #01
Facebook やAmazon、Spotifyも「最小の顧客」を獲得してから成功した。
広告代理店の世界感が薄れたアドバタイジングウィーク
2004年に始まり15回目を迎えた「Advertising Week New York 2018 (アドバタイジングウィークニューヨーク)」を3年ぶりに訪れた。そこで見たのは「Advertising」と言いながらも、WPPのサー マーティン・ソレルの不在など、かつてのマッドマンでいう“広告代理店の世界感”が薄れていた姿だった。マーケティングは、単なる宣伝ではなくデジタル技術と組み合わさり、商品・サービスの告知のみならず、商品・サービスそのものに進化してきている。
消費者との接触チャネルもメディアだけではなく、スマートスピーカーなど広範な技術プロダクトに広がってきており、進化を遂げている。米国のマーケティングはデジタルテクノロジーと融合し、目的を持って単なるコミュニケーション以上のビジネス変革に活用されている。その意味で、差を感じずにいられなかった。
本コラムでは、私が通訳や解説を一部務めたナノベーションのツアー参加者の感想などを織り交ぜながら振り返ってみたい。まず、今回のキーワードとして筆者の印象に残った3つをあげたいと思う。
- It’s not Marketing to consumers but Marketing WITH consumers
消費者に向けてではなく、消費者と一緒にマーケティングをする時代に。 - Serve the smallest viable audience
最大ではなく、最小のターゲットに向けて製品開発やコミュニケーションを図る時代に。 - Transformation at Speed:Disrupt or be Disrupted
時代の変革は早く、BX、EX、MXを急がなければ生存が厳しい時代に。
1. It’s not Marketing to consumers but Marketing WITH consumers
“消費者とともに、マーケティングをする”。このテーマは、あらゆるセッションを通じて、表れていたと感じている。実際には、世代は問わないが、特にデジタルネィティブに向けて、このテーマを考えないと、ブランドの存在すら気づいてもらえない可能もある。
消費者は、デジタルによって、単にメディアのコンテンツを受容するだけではなく、その一部となっている。企業と直接的な接点も増え、ソーシャルによって自ら発言する機会も多くなっている。
筆者は1000万人を超える国際的な学生ネットワークを要する「UNiDAYS」のセッション「Gen Z: Decoding the Digital Generation. Speaker:Alex Gallagher Chief Marketing Officer UNiDAYS」をオンライン解説したので、その一部を披露する。ちなみに、「GenZ(ジェネレーションゼット)」とは、1995-2010年生まれのデジタルネィティブ世代を指す。
GenZは、将来に関して興味をもち、価値観に共感するブランドを買う。そして、次の施策を取ることが必要となる。
GenZに関するリサーチをし、自社のブランドがどう思われているかを知ることが重要。そして、彼らを消費者ではなくコラボレーターとして扱う必要がある。例えば、商品企画やCSR活動に参加させて、何らかの特典を付与するべきである。それは、商品提供などのインセンティブだけではなく、人生や就職に関するアドバイス、自社でのインターンシップなどでも良い。中には、奨学金を提供している企業も多い。
GenZアドバイザリーボードを組成して、製品デザインやマーケティング(PR、CSR含む)のプロセスに入れる企業も多く、成果を出している。
GenZに関するリサーチをし、自社のブランドがどう思われているかを知ることが重要。そして、彼らを消費者ではなくコラボレーターとして扱う必要がある。例えば、商品企画やCSR活動に参加させて、何らかの特典を付与するべきである。それは、商品提供などのインセンティブだけではなく、人生や就職に関するアドバイス、自社でのインターンシップなどでも良い。中には、奨学金を提供している企業も多い。
GenZアドバイザリーボードを組成して、製品デザインやマーケティング(PR、CSR含む)のプロセスに入れる企業も多く、成果を出している。