江端浩人のAdvertising Week New York 2018レポート #01

Facebook やAmazon、Spotifyも「最小の顧客」を獲得してから成功した。

なぜ「最小の顧客」だと良いのか

2. Serve the smallest viable audience


 日本では、より多くの顧客に伝わる方法を考えがちであるが、米国のベストセラー作家である、セス・ゴーディン氏のセッション「This Is Marketing」では逆のことを言っていた。 「Serve the smallest viable audience (事業が成立する最小のオーディエンスをまず掴め)」ということである。

 ゴーディン氏は「1960年代のP&Gは、マスメディアでブランドをつくったのであるが、この10年ではマスメディアでできたブランドはひとつもない。最初のオーディエンスを満足できなければ、止めるべきだ」と言い切る。

 Facebookも最初は、学校の中のクラスメイト紹介サービスであったし、Amazonも最初は医学専門書の通販であった。Spotifyも最初は偏った音楽を集めて聞きたいというサービスであった。その理由についてゴーディン氏は「インターネットは広告配信を前提としていない初めてのメディアであるからだ」と解説した。

 「インターネット時代は全員を満足させることはできない、従ってターゲットが規定されなければマーケティング予算は使うべきではない」と断言してみせた。ちなみに次回紹介するR/GAによる、Walmartの施策も「Weekly Shopper(週に一度買いに来る人)」にとっての「Grocery Goods(日用品)」のような存在になっている。

 これらの内容は11月に発売されるゴーディン氏の新著にも書かれるということで、日本語版も含め大変楽しみである。
 
 ゴーディン氏のマーケティング十則と11月に米国で発売される新著
 「3. Transformation at Speed:Disrupt or be Disrupted」については、後編で紹介する。
続きの記事:
ウォルマートは、なぜAmazonに唯一対抗できている米国・小売業になれたのか
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