Web Summit 2025 現地レポート
欧州最大規模のテックカンファレンス「Web Summit 2025」 最速レポート 注目キーワードは「AIによるビジネスの再定義」【電通 森直樹】
「オリジナリティこそが時代を超える?」 Khaby Lameが語るクリエイター哲学
TikTokで世界最多フォロワーを誇るクリエイターのKhaby Lameが登壇。日本のTikTokerとは貫禄が違うな!というのが第一印象。そして、VisaのGlobal Consumer Product OfficerであるMark Nelson氏と共に登壇。この2人によるセッションの違和感が凄かった。
Khaby氏は、サイレントコメディで築いたブランド哲学を語り、「ビジネスを目的にするより、まず人を笑顔にすること。真の創造性は心から生まれる」と語り、AI全盛時代だからこそ「本物の人間の感情やユーモア」が差別化要素になると強調。
生成AIコンテンツが溢れる中で「リアルな体験や素朴な表現を求める人々が戻ってくる」と予言し、インフルエンサーが企業と関わる際にも「愛される個性」こそが、長期的ブランド価値を支えると示唆した。
また、Khaby氏は「AIは使うが、依存しない」と語り、「簡単で、誰でも理解できるコンテンツこそがグローバル共通語になる」と持論を展開。クリエイターとブランドの関係を“Authenticity”(誠実さ)で結ぶことが重要だと訴えた。
Visaが描くボーダレス経済構想
Khaby氏と一緒に登壇というか、共演したのがVisaのMark氏だ。彼は、クリエイター経済を支える金融インフラの再構築を提唱した。
世界には10億人以上の銀行口座を持たない人が存在し、彼らの創造性が経済に参加できていない現状を指摘。デジタル通貨やステーブルコインによって「誰もがグローバルに報酬を受け取れる仕組み」を整備することが次のクリエイティブの成長エンジンになると語った。同時に、AIによるインテリジェントコマース構想を紹介し、消費者がAI エージェントに決済権限を与え、代行購入できる仕組みを実現させるという。
ちなみに、Khaby氏は終始くだけた様子で、Mark氏の話に対し、TikToker特有感のある“ユーモア”を交えた受け答えをしていて、会場を沸かせていた。Khaby氏は「僕はあまり喋らないよ」と笑いを誘い、支払いの話題では「僕はちゃんと働いて稼いでるよ」とMark氏を茶化すなど、静かなキャラを崩さずに会場を盛り上げていた。個人的には、Mark氏にとっては普段にはない大変な登壇となったのではと感じたのであった。

森 直樹 氏
株式会社電通
ビジネストランスフォーメーション・クリエイティブセンター
エクスペリエンス・デザイン部長/クリエイティブディレクター
光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。米デザインコンサルティングファームであるfrog社との協業及び国内企業への事業展開、デジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。2023年まで公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構の幹事(モバイル委員長)を務める。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST(INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia(PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo公式スピーカー他、講演多数。CESでは、ライフワークとして各種メディアに10年以上の寄稿経験がある。
株式会社電通
ビジネストランスフォーメーション・クリエイティブセンター
エクスペリエンス・デザイン部長/クリエイティブディレクター
光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。米デザインコンサルティングファームであるfrog社との協業及び国内企業への事業展開、デジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。2023年まで公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構の幹事(モバイル委員長)を務める。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST(INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia(PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo公式スピーカー他、講演多数。CESでは、ライフワークとして各種メディアに10年以上の寄稿経験がある。
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