London International Awards

若手帰国子女プランナーがグローバル最前線で活躍するクリエイティブたちに食らわされた9つのパンチライン【LIAレポート】

 

海外でアイデアワークショップをやってみて


 2日目に行われたAKQA主催のアイデアワークショップは、世界最大手のエンタメコンテンツブランドDisney社とオーストラリアの大手モールブランドWestfield社による共同ブリーフ。

 2026年に公開される3つの主力作品の続編(Toy Story 5/Star Wars/Spider-Man)のIPを使用してモールのプロモーションを盛り上げるアイデアの、14チーム競合コンペでした。 実際のクライアント(Disney、Westfields)もこのワークショップのためにラスベガスに足を運び、ブランド理念から課題・ブリーフに至る背景まで、みっちりインプットしてくれました。それを踏まえると、いかにステークホルダーたちが「ガチ」でこのワークショップでアイデアを求めているか、その本気度と期待を感じました。
 

実際のクライアントが実施した本格オリエン(守秘義務につきぼかしあり)

 アメリカ・マレーシア・ドバイ・イタリア・アルゼンチンのエージェンシーに所属するメンバーが集まった私のチームは、まずコピー起点で強いアイデアを決めるところから始まりました。

 視覚情報によってアイデアを伝える力がとてつもなく強いなと思いました。アイディエーションから提案書作成までの短い時間に、AIを駆使してイベントのUXジャーニーを作成したり、プレゼンテーションのトンマナやフォントにもこだわり、いかにEntertainingに魅せられるかということに、コピーライター/プランナー/デザイナー全員が同じ価値観で向き合う。その姿勢が、どのチームにも強固に現れていました。

 自分たちが最終的に提出したアイデアは「クエストフィールド」。モール内のビーコン機能を使ってティーン層の携帯やスマートウォッチにモール内を回遊するクエストを通知し、
モール内メディアを活用して好きなディズニーキャラクターとのインタラクティブな体験を提供するものでした。

 残念ながら自分たちのチームは入賞ならずでしたが、博報堂に入社する時の選考以来の9人アイデアディスカッションは、かけがえのない思い出と多くの気付きに溢れていました。
 

自身のチームのアイデア。ウェストフィールドにちなんで「クエストフィールド」

 アイデアディスカッションの際、特に日本に持ち帰りたい視点だと思ったことは、「内向的な人(Introvert)」を差別なく尊重していたことでした。

 外向的/おしゃべりなチームメンバーが率先して「ごめん、しゃべりすぎちゃったけど、〇〇どう?」と主体的に議論を回すことによって、全員が意見を述べられるように取り仕切っていたことがなによりも頼もしく、ほっこりとしました。

 そして全チーム、なによりもプレゼンがおもしろい!

 私がこれまでヤングスパイクス本戦やヤングカンヌ予選などで、現業ではないぶん「いかに笑えるプレゼンをつくれるか」という遊び心半分(でも勝つために至って真剣)で行っていたことを、海外のクリエイティブたちは現業でもやっていることが判明しました。

 いかにクライアントをワクワクさせ、楽しい時間にするか。プレゼンを提案ではなく、パフォーマンスとして捉えていることはとても新鮮でした。
 

田丸と同じチームだった皆さん。みんな最高だ!
 

日本の若手クリエイティブ人材に伝えたいこと


 私がLIAisonsに向かう直前に、弊社役員の木村さんから言われたのは、「一生の友達をつくってこい」でした。とても仲良くなった数人とは、そんな関係になれたと思います。

「次はカンヌで」
「次はLIAの審査員席で」

冗談?
ノリ?

 いいえ。次に会う時までお互い強くなっていようなという、熱く固い約束です。ラスベガスまではるばる旅したわけですが、現地でしか得られなかったなと思ったものは、間違いなく世界中の戦友とのつながりでした。

 彼らが普段どのようにインプットをして、企画やコピーを考えているのか、どのようにクライアントをアイデアで惚れさせているのか、どうこれから生き延びていこうとしているのか。

 ウェビナーや講義では到底学べないような、飲み会や休み時間のおしゃべりだけから生まれる密で熱いコミュニケーションをたくさんできたことは、何よりも今後の糧であり、宝です。

 LIAisonsに限らず、カンヌやADFESTなどに行かれる際には、せっかくなので、ぜひ日本人以外とも話してみてほしいです。思っている100倍フレンドリーなので……!

刺激的な1週間を経て、130人の若手の仕事に対する姿勢が少なからず変わったと思います。

ぜひ、所属するエージェンシーでLIAisonsの募集枠がある際には、思い切って手を挙げてみてください!そして、千載一遇の出会いと学びを、今度は私に教えてください!
 
他の連載記事:
London International Awards の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録