マーケター海外出張レポート Insights from Abroad

グローバルリーダーシップ研修「Marketing Academy Fellowship」で学んだこと ー 問われるのは英語力ではなく「あなたならではの世界一」【キンドリル 加藤希尊氏】

 

自分が大切にしてきた日常の価値は、世界でどう伝わるのか


執筆者:
 
加藤 希尊 氏
キンドリルジャパン
Vice President, Marketing - Redefining Growth

 海外研修やグローバルイベントと聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは「英語力」かもしれません。流暢に話せること、的確に議論できること。それらが重要であることは、言うまでもありません。

 私自身、英語環境で仕事をすることは日常で、これまで海外での研修やグローバルプログラムにも何度も参加してきました。英語での議論や意思疎通も、特別なことではなく自然なコミュニケーションの一部です。一方で、私たちにとって英語はあくまで第二言語であり、母語ではありません。その前提に立ったうえで、この研修をレポートします。

 今回、「Marketing Academy Fellowship」というグローバルリーダーシップ研修に参加し、朝食からセッション、ディナー、ネットワーキングまで、4.5日間を18人で共に過ごす中で、語学力とは別の次元で、より強く問われているものがあると実感しました。
 

 グローバルな場で評価されるために、私たちはつい「足りないもの」を探しがちです。けれど実際にこの場で問われていたのは、何かを新たに足すことではなく、すでに自分の中にあるものを、いま置かれている世界の中でどう引き出し、どう役立てるかでした。

 それは、自分は何者なのか。自分が大切にしてきた日常の価値を、この世界、つまりいま自分が属している環境やコミュニティの中で、どうすれば相手に伝わる形で差し出せるのかという問いでした。
 

Marketing Academy Fellowshipとは



 Marketing Academyは、2010年に英国で設立された非営利団体で、マーケティング領域におけるリーダー育成を目的としています。Fellowship Programは、企業側のCMOや成長責任者に限定された、非常に選抜性の高いプログラムです。ここでいうフェローとは、この選考を通過し、一定期間プログラムに参加するメンバーを指します。プログラムは、マッキンゼー・アンド・カンパニーと共同で設計、提供されています。

 このプログラムは、ボードレベルの思考やCEO視点への移行を支援することを明確な目的としており、選ばれたフェローに対しては受講料が無償で提供されます。単なるスキル研修ではなく、経営の意思決定に向き合うリーダーとしての視座を育てることが重視されています。

 私が参加したAPACプログラムには、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、インド、日本から計18人が参加しました。通信、製造、金融、小売、アパレルなど、BtoBからBtoCまで幅広い業界のマーケティング責任者が集まっています。

 現地研修は全3回構成で、第1回がオーストラリアのシドニー周辺、第2回がシンガポールのセントーサ島、第3回がインドのムンバイです。本稿では、これまでに参加したシドニーとシンガポールの2回の研修体験を共有します。
 

世界のマーケティングリーダーと過ごす時間


 講師陣には、Marketing Academyのファウンダーやフェローシップのディーンに加え、マッキンゼーのパートナー、AIやファイナンスの専門家などが名を連ねます。ディーンとは、大学における学部長やスクール長に近い立場で、このプログラム全体の学びや思想を統括する役割です。内容は非常に密度が高く、マーケティングの枠を超えて、経営全体をどう捉えるかが問われます。

 プログラム期間中は、専門家によるセッションに加え、ボードレベルのエグゼクティブ・コーチングや、CEO、社外取締役経験者との1対1のメンタリングも組み込まれています。参加者一人ひとりの意思決定やキャリアの文脈に深く踏み込む設計になっている点が、このプログラムの大きな特徴です。

 参加者はいずれも各国、各業界を代表するマーケティングリーダーですが、この場では肩書きはほとんど意味を持ちません。重要なのは、このコミュニティに対して、どのような価値を提供できるのかという姿勢でした。

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