「ADFEST」萩原幸也氏レポート #7
アドフェスト2026レポート:クリエイティビティが「人間に効いている」受賞作たち【リクルート 萩原幸也氏】
アジアを代表する広告クリエイティブの祭典「ADFEST 2026(アドフェスト2026)」。今年は3月19日から21日に、タイのパタヤで開催されました。会場には56都市から770人の参加者が集まり、セッション、アワード、ワークショップ、ネットワーキングパーティーなど盛り上がりを見せました。
アジェンダノートでは、現地参加したリクルート マーケティング室 クリエイティブディレクターの萩原幸也氏によるレポートを全3回の記事に分けてお届けします。2回目となる本稿では、アドフェスト2026を象徴する受賞作品群を紹介します。
アジェンダノートでは、現地参加したリクルート マーケティング室 クリエイティブディレクターの萩原幸也氏によるレポートを全3回の記事に分けてお届けします。2回目となる本稿では、アドフェスト2026を象徴する受賞作品群を紹介します。
アドフェスト2026 受賞作品その1:「信頼」をつくるテクノロジー体験
今回は、海外からの受賞作品を紹介します。アドフェスト2026のロータス・アワードには計1,405件の応募が集まり、17都市から参加した56名の審査員が7つのグループに分かれて受賞作品を選出しました。審査対象となったのは21のカテゴリーで、これに加えてSpecial Awardsとヤング・ロータスも設けられています。ひとつの作品が複数カテゴリーで受賞するケースも少なくありません。
ここで紹介するのは、そうした複数部門でも存在感を示した、今年のアドフェスト2026を象徴する作品群です。
▶︎メッセージではなく実体験を通じて、消費者からの「信頼」を獲得
広告主:DSP MUTUAL FUND作品タイトル:「GARUDA RAKSHAK」
受賞内容:INNOVA Grande、Effective Gold、Lotus Roots
インドの大巡礼祭「プルナ・マハ・クンブ」は、世界最大級の宗教的集いです。2025年に6億6300万人超が集まり、過密環境、携帯電話ネットワークの麻痺という中で、子どもが家族とはぐれることが大きな課題となりました。調べると、過去の累計では25万人を超える行方不明者が出ているとも。
インドの資産運用会社 DSPは、子どもたちにリストバンドを配布。ヒンドゥ神話に登場する天の守護神「ガルーダ」を模したドローンがモバイルネットワークに依存することなく子どもの座標を特定し、地上の救助隊を正確な場所へと誘導。このリストバンドを装着していた子どもたちは全員無事に保護され、その78%は5分以内に発見されたそうです。
この取り組みで、DSPはメッセージを発信するのではなく、生活者に実体験を通じ、言葉通り「信頼できる」ブランドとなったと言えます。

DSP MUTUAL FUND「GARUDA RAKSHAK」
▶︎山火事、洪水…自宅に迫る脅威を「家の声」として伝える施策
広告主:SUNCORP INSURANCE作品タイトル:「HAVEN」
受賞内容:Brand Experienceゴールドなど
2035年までに、気候変動の影響でオーストラリアの住宅の10%が保険加入不可になる可能性があるとのこと。しかし、これに対する対策はほとんど講じられていません。そこで、保険会社のSUNCORPは、業界を牽引し、「復旧」から「レジリエンス(耐性)」への転換を主導したのがこの事例です。
全オーストラリアの住宅に「声」を与えるという発想で、オーストラリアの1,100万人の住宅所有者の誰もが、自宅の住所を入力するだけで、住宅が直面するだろう特定の脅威(暴風雨、山火事、洪水など)に対し、よりレジリエンスを高めるために具体的に何が必要かを住宅自身から聞くことができます。この施策が話題になり、多くの利用を集め、ブランドと事業の両面に好影響をもたらしました。

SUNCORP INSURANCE「HAVEN」
ちなみに、こちらに実際のサイトがあります。オーストラリアの任意の住所を入れると体験できるので、ご覧ください。




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