マーケター海外出張レポート Insights from Abroad
「CMOがCEOになる」グローバルリーダーシップ研修で学んだこと ー リーダーになる人材が意識しておきたい「レンズ思考」【キンドリル 加藤希尊氏】
2026/04/17
グローバル化が進む中でマーケターに求められるのは、国内にとどまらず、世界の現場を肌で感じ、街の風景や人々の様子から重要な兆候やインサイトを読み取って、その知見を自身の実務に生かす視点だ。本企画では、所属企業の業務で海外を訪れたマーケターの方々に、出張先での体験や学びを寄稿いただく。現地の市場トレンド、消費者行動の違い、展示会やカンファレンスの最新動向、そして異文化との出会いによる気づきなど、現地で見た・聞いた・触れたことの記録は、日常の業務では得がたい示唆に満ちている。実務に直接的/間接的につながる発見や課題感を共有することで、読者のマーケティング活動に新しい視野を取り入れるきっかけを提供する。
今回の執筆者は、キンドリルジャパンのマーケティングを率いる加藤希尊氏。前回に続き、マーケティング領域におけるリーダー育成を目的とするグローバルリーダーシップ研修「Marketing Academy Fellowship」のAPACプログラムに参加した経験をレポートする。「レンズ思考」という思考の前提に気づき、見つめ直し、書き換えるという、意思決定を担うリーダーに必要な所作。それを学んだ、インド・ムンバイでの研修の模様をお届けする。
今回の執筆者は、キンドリルジャパンのマーケティングを率いる加藤希尊氏。前回に続き、マーケティング領域におけるリーダー育成を目的とするグローバルリーダーシップ研修「Marketing Academy Fellowship」のAPACプログラムに参加した経験をレポートする。「レンズ思考」という思考の前提に気づき、見つめ直し、書き換えるという、意思決定を担うリーダーに必要な所作。それを学んだ、インド・ムンバイでの研修の模様をお届けする。
「CMOがCEOになる」グローバルリーダーシップ研修
意思決定の質は、情報量ではなく「どのレンズで世界を見るか」によって大きく左右されます。
「CMOがCEOになる」というテーマで、10ヵ月にわたるグローバルリーダーシップ研修「Marketing Academy Fellowship」に参加した体験をレポートします。
前回の記事では、「自分ならではの価値」を問い続けるプロセスや、世界に通用する自分らしさや強みの伝え方についてレポートしました。
本稿では、研修の締めくくりとなるインド・ムンバイでの経験を通じて、意思決定の前提を変える「レンズ思考」と、その実践的な価値についてお伝えします。
執筆者:

加藤 希尊 氏
キンドリルジャパン
Vice President, Marketing - Redefining Growth
キンドリルジャパン
Vice President, Marketing - Redefining Growth
「レンズ思考」という思考の前提に気づく
「Marketing Academy Fellowship」は、コーチングやメンタリングと、3回のレジデンシャル(シドニー、シンガポール、インドでの合宿形式のプログラム)で構成されています。日常の業務と並行しながら、自分の思考や意思決定を見つめ直し続けるプログラムです。
その一連の体験を通じて感じているのは、私たちは常に自分なりの「レンズ」を通して世界を見ているということです。ビジネスのレンズ、マーケターとしてのレンズ、あるいは一人の消費者としてのレンズ。どのレンズを使うかによって、同じ事象でも意味は大きく変わります。レンズを変えることで、競合の定義、顧客の捉え方、そして投資判断そのものが書き換わります。
これまで自分なりの視点で意思決定してきたつもりでしたが、その見方がどれほど固定化されていたかには、正直あまり自覚がありませんでした。むしろ経験を重ねるほど、「このケースはこう判断する」という思考の型が無意識に出来上がっていたように思います。それは効率でもあり強みでもありますが、同時に新しい見方を遮るフィルターにもなっていたのではないかと感じています。
今回のインドでの経験は、その前提を静かに揺さぶるものでした。
前提が外れる体験 インド・ムンバイでの研修
研修の会場は、120年以上の歴史を持つTaj Mahal Palaceです。インドを代表する最大級のコングロマリット・Tataグループの創業者であるジャムシェトジー・タタ氏によって設立されたこのホテルは、ムンバイを象徴する存在として知られています。歴史と重厚感のある空間で議論すること自体が、日常とは異なる思考のスイッチを入れる役割を果たしていました。
現地では文化体験として、年に一度、3月に開催される「Holi祭」にも参加しました。人々が色粉を投げ合いながら春の訪れを祝う祭りです。
実際にその場に入ると、想像以上に激しく、空気中に舞う粉で視界すら変わります。飲み物のカップは一瞬で色粉に覆われ、カップを口に運んだ瞬間に粉が舞い込み、飲み物なのか色水なのか分からなくなるような状態でした。
事前にワセリンを塗るなどの対策をしていたものの、細かい粉は衣服の内側まで入り込み、お腹や背中に色が残るという“盲点”もありました。頭では理解していたつもりでも、実際に体験すると全く違う。そうしたズレの積み重ねが、自分の前提の限界を浮き彫りにしていきます。
この「想像と実体験のズレ」は、顧客理解にもそのまま当てはまると感じました。データや仮説で理解したつもりでも、実際の体験には常にギャップが存在します。
こうした体験は単なるイベントではなく、「自分の前提がどこまで通用するのか」を身体で理解する機会でもありました。この“前提が外れる感覚”が、その後のセッションの理解にも強く影響していきます。
Holi祭にて色まみれになった参加メンバーと




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