カンヌライオンズ2026

カンヌライオンズ2026 受賞作の傾向「世の中に目を凝らして、使えそうなものをピックアップ!」

 

グランプリ受賞 ハインツの事例に見る、「見立て」の妙


 さて、今回2つ目の傾向として取り上げる「世の中に目を凝らして、使えそうなものをピックアップ!」の典型的な事例は、プリント&パブリッシング部門のグランプリを獲得した、ハインツ(ケチャップ)の「Look Familiar?(見覚えない?)」です。

※なお、紹介する事例のそれぞれは、僕が挙げる傾向のひとつだけではなく、いくつかにまたがって具現化している例も少なくないのでご承知おきください。
  
ゴールド以上受賞者は登壇する。国旗を誇らしげに拡げるチームも少なくない。

20年以上変わらない、贈賞式の名物司会者。

贈賞式後の赤絨毯階段でも、喜びを分かち合う受賞者たち。

赤絨毯階段付近では、むき出しのライオン・トロフィーが多数。

 150年の歴史を持ち、ずっと同じ形のロゴマークを使用してきたハインツのケチャップ。しかしながら、競合商品の増加や材料費の高騰などに直面し、ハインツは、ポテトフライを注文する時に人々が必ずハインツケチャップを想起してもらうようにする必要に迫られていました。

 そうした課題を持った時に、担当者は、あることに気づいたのです。(どのようにして状況を見つめ、どのように気づいたのでしょうか!)

「ファーストフード店で出てくるフライドポテトの入れ物の形って、ハインツケチャップのマークに似てない?」 ー そう思って調べてみると、あらららら、どこの国でもお店で出てくるフライドポテトの紙容器は、ほぼほぼハインツケチャップのマークに似た形をしているのです。

 そこで、ハインツは、フライドポテトの入れ物を登場させ、そこにハインツのロゴマークを重ね合わせ、「It has to be Heintz(やっぱりトマトケチャップはハインツじゃなきゃ)」と伝えるビルボードなどを、ロンドン、ニューヨーク、メキシコシティ、リオデジャネイロ、ドバイ、北京など各国で展開します。日本でも、スマートフォン広告を展開しました。
 
Heinz「Look Familiar?」ケースビデオ

 これ、思わず、僕は笑っちゃいました。いいところに目を付けているし、その強引さが、ある種のヒューモア(Humor)を醸し出していて、好感が持てます。

 僕らは、素晴らしいアイデアを1から考え出そうと四苦八苦して、結局は訴求力のある、人の心を動かすアイデアに辿り着けなかったりします。広告クリエイティブの世界では、何かに乗っかることは、まったく悪いことではありません。自分の頭の中だけで右往左往するよりも、まずはこの事例をヒントとして、世の中に目を凝らしてみては、いかがでしょうか。

 今回は詳しくは触れませんが、ブラジルの電力会社協会 ABRADEEによる「Searching Birds on Wires(電線の鳥を探して)」(オーディオ&ラジオ部門ゴールド)も、世の中を見渡して「何かに気づいて」出来上がった企画でしょう。

 電線にとまった鳥の写真を募集し、それを楽譜に見立てて交響曲を作曲・演奏しました。そうすることによって、景観を邪魔するものとしてネガティブなイメージを持たれている電線、ひいては電力会社の存在に対するイメージの向上を図ったと言います。
 
Abradee「Searching Birds On Wires」

 このカンヌライオンズ2026の速報レポートもあと2回です。なるべく早いタイミングで、皆さんにお届けするつもりですので、楽しみにお待ちください!
      
この時期のカンヌの夜は、街じゅうがパーティ会場のよう。

カンヌの白ワインには「角の氷」が別添される。
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