【リレー連載】アジア市場を攻略するローカルインサイトとナラティブ戦略 #05
ユニクロやホンダも実践する「アーンド・ファースト」のコミュニケーション戦略【リレー連載Vol.05 インドネシア】
2026/08/12
アジア市場は、日本企業の今後の成長を左右する最重要エリアのひとつである。しかしその一方で、アジア各国の市場環境は、たとえ隣国であっても大きく異なり、文化的・社会的背景の多様性が日本企業の進出における高い障壁となっている。こうした状況を踏まえて発足したのが、シンガポール・タイ・インドネシア・ ベトナム・マレーシア・フィリピンの6ヵ国を代表するPRストラテジストが結集し、日本企業のアジア進出を支援するコレクティブネットワーク(専門家組織)「PR Collective Asia」である。
参考:アジア市場におけるPR戦略の専門家組織「PR Collective Asia」発足
本連載は、PR Collective Asiaを構成するPRストラテジストによるリレー形式で展開する。各執筆者がこれまで手がけてきたコミュニケーション戦略を振り返りながら、各国の文化・宗教・商習慣・メディア構造といった特徴を紹介する。5回目となる今回は、ここ数十年で最大規模の変革期を迎えているというインドネシアのメディア産業に注目し、同国に進出する日本企業・ブランドがどのようにメディアリレーションズを築くべきかを解説する。
執筆を担当するのは、インドネシアにて、インハウスおよびコンサルタントの両面で 30 年以上の戦略的コミュニケーション経験を持つ PR ストラテジストであるハリー・トゥメンコル氏。メディア産業の変革、そしてAIの影響力が増大し続ける情報環境下でも、ブランドが存在感を強く持ち続けるための「アーンド・ファースト」のコミュニケーション戦略について、事例を交えて論じる。
参考:アジア市場におけるPR戦略の専門家組織「PR Collective Asia」発足
本連載は、PR Collective Asiaを構成するPRストラテジストによるリレー形式で展開する。各執筆者がこれまで手がけてきたコミュニケーション戦略を振り返りながら、各国の文化・宗教・商習慣・メディア構造といった特徴を紹介する。5回目となる今回は、ここ数十年で最大規模の変革期を迎えているというインドネシアのメディア産業に注目し、同国に進出する日本企業・ブランドがどのようにメディアリレーションズを築くべきかを解説する。
執筆を担当するのは、インドネシアにて、インハウスおよびコンサルタントの両面で 30 年以上の戦略的コミュニケーション経験を持つ PR ストラテジストであるハリー・トゥメンコル氏。メディア産業の変革、そしてAIの影響力が増大し続ける情報環境下でも、ブランドが存在感を強く持ち続けるための「アーンド・ファースト」のコミュニケーション戦略について、事例を交えて論じる。
原点回帰:インドネシアにおいて、メディアリレーションズの重要性が増している
インドネシアのメディア産業は、ここ数十年で最大規模の変革期を迎えている。広告収入の減少やオーディエンスの行動変化に対応するための報道機関の再編に伴い、2023年から2024年にかけて推定1,200人のメディア関係者やジャーナリストが解雇された。編集局の規模は縮小され、ジャーナリストは複数の担当分野やプラットフォームを兼務し、編集者は追求する記事に対してますます選択的になっている。
<執筆者>

Harry Tumengkol ハリー・トゥメンコル
Image Dynamics 共同創業者 兼 パートナー
インドネシアにて、インハウスおよびコンサルタントの両面で 30 年以上の戦略的コミュニケーション経験を持つ PR ストラテジスト。世界的 な PR 会社 APCO Worldwide やバーソン・マーステラなどでリーダー を歴任。それ以前は、オーストラリアの天然資源企業 BHP Indonesia や、のちに MNC グループへと発展した総合メディア複合企業 Bimantara Citraでも経験を積む。Google、WhatsApp、Coca-Cola、British American Tobacco などのグローバル企業、本田技研、ユニクロ、花王など日本企業の実績も多数。
Image Dynamics 共同創業者 兼 パートナー
インドネシアにて、インハウスおよびコンサルタントの両面で 30 年以上の戦略的コミュニケーション経験を持つ PR ストラテジスト。世界的 な PR 会社 APCO Worldwide やバーソン・マーステラなどでリーダー を歴任。それ以前は、オーストラリアの天然資源企業 BHP Indonesia や、のちに MNC グループへと発展した総合メディア複合企業 Bimantara Citraでも経験を積む。Google、WhatsApp、Coca-Cola、British American Tobacco などのグローバル企業、本田技研、ユニクロ、花王など日本企業の実績も多数。
この変化は編集局内にとどまらない。一部のメディア企業では、商業的な圧力から経営陣が編集チームに対し、広告やパートナーシップの機会に貢献するよう促しており、ジャーナリストとPR担当者の双方にとってより複雑な環境を生み出した。同時に、オーディエンスはソーシャルメディア、メッセージングプラットフォーム、ポッドキャスト、AI搭載の検索エンジンを通じてニュースを消費する傾向を強めている。
こうした背景から、メディアリレーションズの重要性が薄れているのではないかと疑問視する声もあるが、真実はその逆だ。
今日のブランドは、認知度を高めるためのチャネルをより多く持っているものの、信頼性を構築するための確かな経路は減少している。インドネシアのメディア業界で編集局は縮小し、広告収入はグローバルなデジタルプラットフォームへと移行し、オーディエンスはますます断片化するエコシステム全体で情報を消費している。その結果、特にAI時代においては、信頼できるアーンドメディア(獲得メディア)の一つひとつがより大きな価値を持つようになっている。
メディアリレーションズは、顧客、投資家、政策立案者、その他のステークホルダーとの信頼を築く独立した編集記事を生み出すため、依然として「アーンド・ファースト」のコミュニケーション戦略の基盤なのだ。
現在、その信頼は人間を超えた領域にまで及んでいる。ChatGPT、Gemini、Claudeといった大規模言語モデルは、回答を生成する際、主に信頼できる独立して公開された情報源に依存している。これらは広告予算によって信頼性を決定するわけではない。評価の高い報道機関、業界誌、政府の情報源、その他の権威ある参考文献を通じて確立された信頼のパターンを特定しているのである。したがって、強固なアーンドメディアの実績を持つ企業は、AIプラットフォームを通じて正確に表現され、参照され、発見される可能性が高くなる。
メディアリレーションズの役割が根本から変わるのだ。もはや「今日の見出し」を獲得することだけが目的ではない。信頼できるすべてのアーンド・ストーリーが、将来の検索結果、AIが生成する回答、そして長期的な企業の評判を形成するデジタル知識ベースに貢献する。




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