カンヌライオンズ2026
資生堂 アートディレクター&コピーライター振り返るカンヌ2026「カンヌで企業としての存在感を継続的に示していきたい」
2026/07/31
世界最大の広告賞「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(カンヌライオンズ)」が今年も6月22日-26日にフランス・カンヌで開催された。計2万点以上の応募作品の中から選ばれた世界最高峰の広告・コミュニケーション事例が表彰されたほか、多種多様なセミナーやトークセッション、幅広い業界の第一線で活躍するプロフェッショナル同士のネットワーキングが行われた。
今年の受賞作品の傾向は?公式セッションで中心的に議論されていたテーマ・トピックは?事業会社やブランド、マーケターにとっての気づき・学びは?ーーアジェンダノートでは、カンヌライオンズ2026を多様な切り口で、さまざまな関係者と振り返っていく。
今回の執筆者は、資生堂でクリエイティブ専門広報というユニークな役割を担う中山怜氏。前編の自身の振り返りに続き、後編では共にカンヌ現地に赴いたアートディレクター・池田昂己氏とコピーライター・宮澤ゆきの氏との対話形式で、「カンヌで企業としての存在感を強めていくことの重要性」を語り合った。
今年の受賞作品の傾向は?公式セッションで中心的に議論されていたテーマ・トピックは?事業会社やブランド、マーケターにとっての気づき・学びは?ーーアジェンダノートでは、カンヌライオンズ2026を多様な切り口で、さまざまな関係者と振り返っていく。
今回の執筆者は、資生堂でクリエイティブ専門広報というユニークな役割を担う中山怜氏。前編の自身の振り返りに続き、後編では共にカンヌ現地に赴いたアートディレクター・池田昂己氏とコピーライター・宮澤ゆきの氏との対話形式で、「カンヌで企業としての存在感を強めていくことの重要性」を語り合った。
「人の可能性を信じる」ことの意義を改めて感じた
ー 早速ですが、現地で印象的だったことを教えてください。
池田 まず、「クリエイターのアワード」というだけのものではなくなっている点がすごく印象的でした。自分もクリエイターとして参加しましたし、他の参加者もクリエイターが多いのかなと思っていたら、マーケターをはじめとする事業会社の方の多さに驚きました。
お話を聞いてみると、「マーケティングの見本市」として、カンヌに事例を学びに来たとのこと。マーケティングやブランディングの一環として学んで活用していきたいと話している人もたくさんいました。
もちろんクリエイターも多く、各社を代表して若手が選抜されているところもあり、それぞれ収穫を会社に持ち帰るためにすごく熱心に参加していたのが印象に残っています。

池田 昂己
資生堂
アートディレクター
2018年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。
同年株式会社資生堂クリエイティブ本部(現・アート&クリエイション本部)に入社。
同社のコーポレートコミュニケーションや化粧品ブランドのアートディレクション、その他VI開発などに携わる。
Spikes Asiaグランプリ、ADFESTゴールド、THE ONE SHOWブロンズなど受賞。
資生堂
アートディレクター
2018年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。
同年株式会社資生堂クリエイティブ本部(現・アート&クリエイション本部)に入社。
同社のコーポレートコミュニケーションや化粧品ブランドのアートディレクション、その他VI開発などに携わる。
Spikes Asiaグランプリ、ADFESTゴールド、THE ONE SHOWブロンズなど受賞。
もうひとつ、先ほどお話ししたように色々な立場・肩書きの方が同じカンヌというものを面白がっているのですが、業種や職種によって視点が違うのが新鮮でした。たとえばPRの方は「どう社会の話題になるだろう」「どうすればニュースとして広がるだろう」という視点で、企画の中身だけでなく人が話したくなるポイントやメディアによるきっかけを見ていました。事業会社の方は一時的な話題で終わらずにブランドの価値につながるかを重視し、クリエイターの方はアイデアの構造や表現、発想自体の面白さに着目していました。
宮澤 私は、自分の中のキーワードとして「人を信じる」というのを強く感じました。AIの話がとても多い中、「テクノロジーを活用することを最終的に判断するのは人」というお話が印象的でした。
色々な受賞作や企画を見ていても、やはり人間が基本的に持っている欲求というか、行動にしっかり紐づいているものが多かったように思います。テクノロジーがどんどん進化している一方で、「人が持っているもの」を信じているからこその企画が依然として多いと感じました。
資生堂も、人が持っている可能性を信じてクリエイションしています。改めて、その意義を感じました。
宮澤ゆきの
資生堂
コピーライター/プランナー
2010年、資生堂に入社。これまでエリクシール、アネッサ、d プログラム、マキアージュ、マジョリカ マジョルカ、インテグレートなど多数のブランドを担当し、コミュニケーション企画立案、コンセプトやネーミング開発など言葉を軸に幅広い案件に携わる。
Spikes Asiaグランプリ、ADFESTゴールド、THE ONE SHOWブロンズなど受賞。
資生堂
コピーライター/プランナー
2010年、資生堂に入社。これまでエリクシール、アネッサ、d プログラム、マキアージュ、マジョリカ マジョルカ、インテグレートなど多数のブランドを担当し、コミュニケーション企画立案、コンセプトやネーミング開発など言葉を軸に幅広い案件に携わる。
Spikes Asiaグランプリ、ADFESTゴールド、THE ONE SHOWブロンズなど受賞。
現地でしか浴びられない「熱量」のシャワー
ー 確かに、人にまつわるお話はセミナーやInside the Jury Room(審査員講評)でも多く出ていましたね。他にも印象に残ったことがあれば教えてください。
池田 毎年、受賞結果はWebでチェックしていましたが、現地に参加してみると、これまでとは全く違う印象を受けました。現地の熱量の中で受賞作などを見られたことに価値があったなと思います。
毎日、各部門の賞がどんどん発表されていくライブ感や、制作者の熱量や思いを肌で感じられたのが、自分のモチベーションにとって本当に良かったです。ヤングカンヌ(U30の若手クリエイター向けコンペティション)は特にぐっときました。

そういえば、授賞式会場で隣の席に座っていた中東地域のクリエイターが見事に受賞していて。席から登壇時の写真を撮って、送ってあげたりもしました。
宮澤 いつの間にそんな交流を!?(笑) でも確かにそういった交流も、現地に行かないとできないことですね。
私が現地で強く感じたことのひとつに、国ごとの盛り上がりがあります。受賞すると、壇上で国旗を掲げるチームがあったり、会場が歓声で湧いたりもしました。日本の作品が入賞すると、私も自分のことのように嬉しくなりましたし、会社としても挑戦を続け、入賞につなげていきたいと思いました。
もうひとつ感じたのが、南仏の空気感。自然と開放的になり、人との距離感も近くなる気がします。「クリエイティブをする仲間同士」と思えるというか……。普段からひとり行動を躊躇するタイプではありませんが、海外にいて一人で行動してしまおうと思えたのは面白かったです。心と身体を軽くする何かが、カンヌにはあるんでしょうね。
池田 思ったより暑くて、湿度も高かったですね(笑)。服装も半袖に短パンで。地域柄なのか、開放的ですよね。その空気を浴びて、自分も良い影響を受けました。
あと、日本からの参加者が多かったと聞いたのですが、現地でも日本人の方をよく目にしたり、レジェンドと呼ばれるような方々ともフランクにお話できたことが印象に残っています。
宮澤 日本からの出品数も受賞数も例年より少なかったという話を聞いて、私としては、それが逆にモチベーションにもなりました。
あとは人が皆さんあたたかかったです。会場内でお手洗いの場所が分からず困っていたら、一度すれ違った方がわざわざ戻ってきてくれたんです。「困っている」と一言も言っていないのに「迷っているの?」と聞いてくれました。
街中を散策している時にも、突然富士山の話をされて、「僕は日本が好きなんだ」と話しかけてくれる方がいらしたり。

ー セミナー尽くしのタイトなスケジュールの中、合間を縫って近隣地域の美術館などにも行っていましたね。
池田 はい、絶対行きたいなと思っていたんです。日本国内にも南仏の影響を受けている美術館がいくつかあって、気候はもちろん違うのですが、参考元になっていると言われる文化的資産を見られて良かったです。街も19世紀の街並みがそのまま残っていますし、日本、東京では味わえない経験でした。





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