アセアンのリアルな生活者の姿を追う #07

新しいテクノロジーの普及で、アセアンの生活はどう変わる?【博報堂生活総研アセアン 帆刈吾郎】

AI技術は「脅威」ではなく「ベネフィット」

 そんな中、AI技術についてはどう見ているのでしょうか。

 シンプルに、AIは人間にとって作業や意思決定をアシストしてくれるなど利益が大きいものなのか、それとも人間の労働を奪うなど脅威となる面が多いのかを尋ねました。

 AIは利益か、脅威か?


 この質問に対し、「利益になる」計が70.7%と、「脅威になる」計の3.7%を大きく差をつけ、好意的な評価が示されました。

 ただし国別の結果では、シンガポール、マレーシアは「利益」計のスコアが低い傾向。調査全体を通じ、特にシンガポールは他国と比べてクールな結果が出ており、先進国で既にテクノロジー周りの開発が進んでいるシンガポールは、日本同様、AIについても冷静な判断をしているのではないか、と考えられます。
 

AIに任せたいのは「エンタメ」、人に任せたいのは「高額耐久財」

 最後に"人によるオススメ"と"AIによるオススメ"、商品選びの際どちらを参考にしたいか、という質問の結果をご紹介します。

 「人間 vs AI」の差分をランキングしたのが次の表になります。

  商品やサービスの選択に人またはAIから推奨を受けたいもの



 「AIのオススメをより参考にしたい」ものは、音楽やテレビ番組、映画などの娯楽関連。SportifyやNETFLIXなど音楽や映画のサブスクリプションサービスを既に利用している生活者もアセアンには多く、「ビックデータを元にオススメを紹介してくれた方が確実で楽チン」などの気持ちが見えます。

 「人間のオススメをより参考にしたい」ものは、自動車、家、バイク、金融商品など、高額かつ長期間使用する代替の利きにくいもの。「高いお金を投資するものだから、人の意見を参考にしつつ吟味して選びたい」という意識が現れた結果と言えるかもしれません。

 ただし、高額耐久財の選び方についても若い人ほどAIによるオススメを受けたいという人が増えている傾向にあり、将来的にはリコメンデーション機能の精度の高まりと共に、様々なカテゴリーで「AIによるオススメ」に頼る人が増えそうです。
 

【博報堂生活総研アセアン独自定量調査概要】

調査手法
インターネット調査
対象者
20歳-49歳の男女、SECミドルクラス以上
調査エリア
タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン
サンプル数
各国900サンプル、計5400サンプル
調査実施月
18年6月
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