日本の小売業との連携について
奥谷 テンセントは、アジア展開を強化していると聞きます。中国から日本には多くの観光客が来ていますが、日本の小売業との連携、そして日本の消費者についてどのように考えていますか。
馬 中国からの観光客を受け入れている日本の旅行会社や交通機関、宿泊施設の方が、私たち以上に消費者の動向を理解していると思います。
ただ、その観光客のデータをどのように読み解いて活用すればいいのか。そして、インバウンドビジネスを真剣に捉えているのであれば、テンセントが新しいマーケットやビジネスの創出をお手伝いができると思います。
すでに我々は、中国国内で数多くの顧客管理の経験を積んでいます。テンセントのプラットフォームや中国の消費者に強い関心を持つ企業に対して、様々な手助けができるでしょう。
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奥谷 日本も含むアジア圏内でWeChatPayが、どこでも自由に使える状態にすることが一番の狙いであり、課題でもあるということですか。
馬 そうですね。長期戦になると思いますが、それが私たちのファーストステップだと考えています。現在、WeChatPayは香港やマレーシア、南アフリカ共和国でも展開していますが、まだまだ期待以上の成果は得られていません。
次の戦略において重要なのは、十分なデータに基づき、素晴らしい顧客体験の提供だと思っています。
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馬 はい。私たちのパートナー企業は、デジタルマーケティングに積極的です。例えば、顔認証制度を導入した店舗では、顧客が入店すると、その人が誰なのかを判別して、頻度や購入履歴、嗜好性などの情報を受け取ります。そうすれば、その顧客に最適な提案ができるのです。
従来は従業員が提供していたサービスをコンピュータが瞬時に行えるのです。これが次の時代の新しい“おもてなし”です。