CDOだからこそ社内の人を知っている必要がある


パイオニア チーフ・デジタル・オフィサー(CDO)
石戸 亮 氏

花田 まずベタなことを言うと、私は人と話すことが好きなんですよ。だから、常に頭の中には人の顔や名前だけではなく、この人はこんなタイプという情報もあると思います。そのため、プロジェクトを立ち上げるときは、新しいことを考えるのが好きなのはこの人、決められたことを丁寧に進めるのが得意なのはこの人、というように自分の頭の中でスクリーニングできていると思います。ただ単にその人の顔や名前を知っているだけでは、なかなかよいチームをつくることはできません。

また、日揮グループのEPC事業は、毎回プロジェクトを組み仕事を進めていくので、そのプロジェクトごとにメンバーが変わります。それによって、自分が所属している事業部だけではなく、社内の中でいろいろな人と接点を持つことができます。これまでのキャリアパスの中で幅広い領域と接点があったことは、私のネットワークの礎になっていますね。

石戸 なるほど。CDOを務めるにも、人と話すことが好きといった要素は非常に大事ですよね。ちなみに、私も人と話すのは好きな方です。

花田 そうなんです、CDOの場合は絶対に必要だと思います。CIOの場合は、どのくらいシステムを知っているか、ということがひとつのキーファクターになるかもしれませんがCDOの場合は違います。CDOでは外部も含めて多くの人を知っている、ということがキーファクターになります。たとえば、組織や業務の変革を行うのに相手の気持ちも分からないまま推し進めると、当然ソフト面にも影響してしまいます。

石戸 こういった話は、なかなか出てこないですよね。

花田 でも私は日揮に在籍しながら、国内外問わずいろいろな企業や環境の中で仕事をしてきたので、新たな価値観を自分で持ちながら仕事をしています。さまざまな視点から物事を見ているので、多様化という言葉が合っているかはわかりませんが、人を見ることを含めて考え方は熟成されてきたと思います。その代わり、技術や研究に本当に深い知識があるかというとありませんが(笑)。