この記事を執筆しているのは、カンヌライオンズ最終日の1日前である6月20日・木曜日の夕方です。気になる事例の紹介などは、帰国後に執筆予定の第3回と第4回に譲ることとして、今回は自分自身にとって19回目の参加となった、今年のカンヌライオンズについて感じたことを3つのポイントとしてお伝えしていきましょう。
例年よりもはるかに多いと思われる人が集まり、生まれる熱気
ポイントの1つ目は、第1回目の速報でも少し触れましたが、例年に勝る「物凄い熱気」です。世界のこの業界(クリエイティブ業界 / 広告業界 / マーケティング業界 / コミュニケーション業界)の盛り上がり具合は、正直ヤバイほどです。理由はハッキリとは分かりませんが、コロナ禍の収束を見てからしばらくして、経済も全体としては好調なのでしょうか。
壇上での喜び方も例年より凄い。セミナーに並ぶ列も例年より長い。地下の展示会場で事例ビデオを見る人の数も例年より多い。なんなら街中でも例年より盛り上がっている。「浮かれてる場合か!」といった感想もあるかと思いますが、僕自身には好ましく感じられました。この業界、盛り上がっていく、アップサイドをいってナンボなところがありますから、とりあえず熱気が感じられるのは良いことでしょう。
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いやぁ、興奮さめやらぬ感じ。いいねぇ。
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イーロンマスク登壇のセミナーに並ぶ人々。2階が会場なのに、4階まで列が伸びていた。
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事例ビデオやテレビCMが見られるコーナー。空席がほとんど無い。
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街中もまるでパーティ会場のよう。あのぉ。そこ、一応“公道”ですけど。
ポイントの2つ目は、「ヒューマニティ」に言及するセミナーが多かったことです。ヒューマニティは、人間性や人間味といった意味合いです。これは、昨年のセミナーが「生成AIばかり」だったことと比較すると、大きな変化だと感じました。
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電通セミナーでも、HUMANITYの文字。
もちろん、生成AIについて語るセミナーは今年も多かったのですが、生成AIの活用はもう「当たり前」のことになっていて、だからこそ逆にヒューマニティが語られていた印象があります。また、それはアワードで、いくつかの部門のサブカテゴリーに「ユーモア」が導入されたこととも呼応しているのでしょう。
この業界は、基本的に「アタラシモノ好き」です。常に、新しい事柄を求めています。そのことには良い面と悪い面があるとは思いますが、僕自身はこの感覚は嫌いではありません。それは、世界を前進させようとすることにも繋がるからです。その観点で言うと、「生成AIって凄い!」という感覚はすでに古く、「生成AIの時代だからこそ、ヒューマニティを、ユーモアを!」が、2024年にはピッタリきていたのだと思います。
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各部門の審査がどこまで進んで、いつ発表になるのかを示したボード。